禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
窓から差し込む朝陽が、昨夜の熱狂を嘘のように白く照らしていた。
いのりが目を覚ますと、隣のシーツはすでに冷えていた。
あんなに熱く自分を抱きしめてくれたマルコの不在に、胸の奥がキュッと締め付けられるような寂しさに襲われる。
(……マルコ、さん)
不安に駆られ、おぼつかない足取りで部屋を出ると、隣の医務室からカチャカチャと薬瓶が触れ合う音が聞こえてきた。
「……マルコさん」
入り口に立つ彼女に気づき、作業をしていたマルコの手がピタリと止まった。
「……起きたかよい。まだ寝ててよかったのに」
「……一人だったから、寂しくて」
そう言って歩み寄る彼女に、マルコは深く、重いため息を吐き出した。
「……昨夜のことは、本当にすまねェ。医者として、あるまじきことをした。あんたの心の傷に漬け込んで、俺まであんたを汚しちまった……」
マルコは視線を落とし、自嘲気味に言葉を続ける。
「あんなの、治療でもなんでもねェ……ただの俺の独りよがりだ。許してくれとは言わねェ。本当に、最低なことをしたと思ってるよい」
謝罪の言葉が、マルコの口から次々と溢れ出す。
だが、いのりはその言葉を最後まで言わせなかった。
彼女はマルコの腰に後ろからしがみつき、その背中に顔を押し当てた。
「謝らないで……。マルコさん、謝らないでください」
「……だが、俺はあんたを守る立場なのに」
「私が、お願いしたんです。……あの日からずっと、私の体の中には、あの人の……ティーチさんの冷たい闇が残ってる気がして、怖くて堪らなかった。でも、今は……」
いのりは腕の力を込め、マルコの背中の温もりを確かめるように抱きしめた。
「今は、マルコさんの熱い感覚だけが残ってる。あの人の手の感触も、重さも、全部マルコさんが追い出してくれたんです。……私、昨夜はあの日以来、初めてぐっすり眠れたんですよ?」
「…………」
「マルコさんは、私を汚したんじゃない。……助けてくれたんです。だから、謝罪なんて、絶対に受け取りません」