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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第10章 彼は彼女を取り戻したい 【ONE PIECE ロー】


「イッカクさん。少し、お手洗いに……」
「そうね。私も一緒に行くわ。ベポ、ここで待ってて!」
「アイアイ!」

二人は近くの化粧室へと向かった。
イッカクが「ここで待っててね」と個室に入り、いのりが一人、洗面台の前で手を洗っていた——その、わずか数十秒の空白。


「……? 誰……っ」

背後に冷たい気配を感じた瞬間、背後から伸びてきた大きな手が、いのりの口を乱暴に塞いだ。


「が……っ、んんっ!!」
「騒ぐなよ、お嬢ちゃん。あんたみたいな綺麗な花は、もっと相応しい場所に飾ってやるからな」

薬品の染み込んだ布が鼻を覆い、いのりの意識が急速に遠のいていく。
ベポが選んでくれたばかりの可愛いお土産が、地面に音を立てて転がった。


数分後。

「お待たせ! ……あれ? いのり?」

個室から出てきたイッカクが見たのは、誰もいない洗面所と、床に落ちたままの小さなマスコットだけだった。

「……嘘。……冗談でしょ!? いのり!!」

イッカクの悲鳴が、華やかなパークの喧騒にかき消されていく。


薄暗く、カビ臭い石造りの牢獄。
いのりが意識を取り戻すと、そこには絶望を煮詰めたような光景が広がっていた。
鉄格子に囲まれた部屋には、虚脱した顔で座り込む人々。

「……ここ、は……」
「気がついたか。運の悪いお嬢ちゃんだな」

横にいた老人が、首につけられた無機質な鉄の輪の首輪を指差して力なく笑う。
いのりが自分の首に触れると、そこには冷たくて重い感触があった。

「それは『爆弾』だ。外そうとしたり、この施設から逃げ出せば、即座に頭が吹き飛ぶ」

「爆弾……!? そんな……!」
「おい、そこ。喋るな!」

乱暴な声とともに、下卑た笑みを浮かべた男が格子を叩いた。


「お前みたいな『上玉』は、今夜のオークションの目玉なんだよ。どこぞの貴族にでも買われて、女として死ぬまで可愛がってもらうんだな。光栄だろ?」

「い、いやっ……離して……!」
「喚くな。お前はもう『人間』じゃねェ。高値のつく『商品』なんだよ!」

男の嘲笑を浴びながら、いのりは膝を抱えて身を震わせた。
せっかく手に入れた自由。
優しかったベポやイッカク、そして、不器用ながらも自分を救ってくれたあの男——。

(ローさん……。助けて……っ……)


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