第9章 彼は遊女の彼女を手放したくない 【鬼滅の刃 不死川実弥】
その夜、恐怖を紛らわそうとするかのように、再び客が強引にいのりを指名した。
噂を聞きつけた男たちは、今や彼女を「ただの女」として扱い、遠慮なくその肢体を蹂躙する。
「ひ、あぁっ! ……や、だ、そこ、……っ!」
「噂通りだ! こんなに締まる中、放っておけるかよ!」
「あ、ぅう、……ッ! んんんっ!!」
何度も内側を突かれ、白濁した熱を流し込まれる。
望まぬ快楽に背中を反らせ、いのりは涙で視界を滲ませながら、ただ窓の外の夜の闇を見つめていた。
(……本当に、この地獄から抜け出せるの…?)
いのりのナカが欲望で掻き回される中、京極屋の影では、堕姫の帯が音もなくうごめき始めていた。
月の光が冷たく京極屋を照らし出す頃、いのりはもはや限界を迎えていた。
噂を聞きつけた客がひっきりなしに訪れ、その都度、いのりの意思を無視して内側を蹂躙され、白濁した熱を幾度も流し込まれた。
「あぁ……はぁ、はぁ……っ」
男が出て行った後の座敷で、乱れた衣類を震える手で整える。
熱を持ったナカの不快感と、繰り返される絶頂に削られた精神。
次は誰が来るのか。
そんな恐怖に支配されていたいのりの前に、襖を荒々しく開けて男が立ちはだかった。
「……おい。ガタガタ震えてんじゃねェ」
「し、不死川、様……?」
そこには、いつもと比較にならないほどの威圧感を纏い、大きな包みを抱えた不死川が立っていた。
「女将、これが金だ。こいつを今すぐ連れていく」
不死川は足元にずっしりと重い包みを投げ出した。
中から覗く黄金の輝きに、金のなる木を手放したくない女将が顔を歪める。
「ですが、この子は今やうちの稼ぎ頭……これしきでは」
「あァ? 足りねェってんなら、力ずくで奪っていくか、この店ごとぶち壊してやろうか?」
不死川の眼光に、女将は悲鳴を上げて後ずさった。
常人では耐えられない「柱」の殺気。店の者は皆、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。
「……行くぞ、いのり。立てるか」
不死川が彼女の細い手首を掴む。
その手は驚くほど温かかった。
「……っ、はい……っ!」