第9章 彼は遊女の彼女を手放したくない 【鬼滅の刃 不死川実弥】
ある夜、力自慢の荒事師が彼女を力ずくで組み伏せようとした。
いのりは怯える瞳を向けながらも、豊かな胸で男の太い腕を包み込む。
「旦那様、そんなに急いでは……勿体のうございます」
胸の谷間に男の熱を挟み込み、圧迫しながらゆっくりと上下させる。
柔らかな肉の感触と香で男の理性を溶かし、男は彼女の胸に顔を埋め、獣のような声を上げてその場所を白濁させて崩れ落ちた。
またある時は、傲慢な若旦那が相手だった。
着物の裾から白皙の足を滑り込ませる。
「手よりも……こちらの方が、お好きなのでしょう?」
いのりは指先を丸め、土踏まずの柔らかな曲線で男の硬い熱を挟み込む。
彼女の足の裏が刻む巧みなリズムと、親指の付け根で先端を執拗に転がす技は、男を狂わせる至高の愛撫となった。
「あ、あぁ……ッ! その足、なんて心地よいんだ……!」
男が絶頂の寸前で腰を浮かせようとするたび、彼女は足の指でキュッと締め上げ、逃さぬように、かつ焦らすように弄び続けた。
最後には男は情けない声を上げ、彼女の足の甲を汚して果てたのだった。
どうしても引き下がらない執拗な客には、最後の手段として太ももを固く閉じる。
「今日は……あの日でございますから。こちらで、お許しくださいませ」
偽りの理由を添えて、閉じた太ももの間に男を誘い込む。
直哉が本番の前戯として好んだその行為は、彼女にとっては最も屈辱的で、同時に最も「中を汚させずに追い返す」のに適した技だった。
男は彼女の肌の滑らかさと、必死に腰を振るその健気な姿に、中に入れられぬ不満も忘れて陶酔し、彼女の腹を汚して満足げに眠りにつく。
そんな日々が続き、彼女の座敷は連日大盛況となった。
しかし、帳簿をつける女将の目は鋭かった。
「お前、客を満足させているのは認めるが……本当に、一度も『中』を許していないのかい?」
廊下で呼び止められたいのりは、ウブな遊女を演じ頬を染めて俯いた。
「……はい。旦那様方が、私のことを大切にしてくださるから……」
女将は「フン」と鼻を鳴らし、それ以上は追求しなかった。
稼ぎ頭となった彼女を、今さら手放す気はないのだ。
(直哉さん……。貴方が私を壊すために教えたことが、今、私を救っているなんて)
皮肉な運命に唇を噛みながら、色街の闇の中で「偽りの純潔」を守り続けていた。
