第8章 口下手な彼は彼女と暮らしたい 【鬼滅の刃 冨岡義勇】
洞窟の湿った闇を抜け、月明かりの下へ出ると、炭治郎が青ざめた顔で待っていた。
義勇の腕の中、自分の羽織に包まれたいのりは、もはや声も出せずに力なく震えている。
「冨岡さん、いのりさんは……!」
「炭治郎、すまないが先に蝶屋敷へ戻り、胡蝶に伝えてくれ。身体の不浄を清める薬と、滋養のつくものを用意しておけと」
「あ……はい! わかりました!」
炭治郎は義勇の放つただならぬ殺気と悲痛な匂いに圧倒されながらも、脱兎のごとく駆け出した。
義勇は一度だけ腕の中の少女に視線を落とすと、そのまま蝶屋敷ではなく、自身の屋敷へと向かった。
静まり返った冨岡邸。
義勇は手早く湯を用意し、いのりを浴室に導いた。
湯をかけると白濁した粘液が流され、彼女の白い肌が露わになる。
いのりは己の身体を抱きしめるように丸まり、歯の根が合わないほどに震えていた。
「……ぁ……っ、うぅ……汚い……。冨岡さん、見ないで……私は、もう……」
義勇は無言で手拭いを取り、彼女の背や肩、そして鬼に弄ばれた太ももを、慈しむように丁寧に拭っていく。
「冨岡、さん……どうして……。こんなに、汚されて……私はもう、あなたの隣に、いちゃいけないのに……っ」
「……黙れ」
義勇の低く、重みのある声が響いた。
濡れた身体のままの彼女を強く、折れんばかりに抱きしめた。
「汚くない。誰が何と言おうと、お前は清いままだ」
「嘘です……あんなに、中にまで……っ!」
絶望を吐き出す彼女の唇を、義勇は深い口付けで塞いだ。
強引で、けれど必死なほどに熱い接吻。
彼女の口内に残っていた鬼の忌まわしい気配を、上書きするように奪い取っていく。
「……ん、んんぅ……っ!」
「汚いと言うなら、俺が上書きしてやる。お前の髪も、肌も、ナカも……すべて俺のものだ。鬼の痕跡など、一滴も残さない」
義勇の瞳には、静かな狂気にも似た深い愛着が宿っていた。
隊服を剥ぎ取り、まだ震える彼女の身体に自らの熱を重ねた。
「あ……ぁっ、冨岡……さん……っ」
「俺を感じろ、いのり。お前を今、愛しているのは俺だ。お前を抱くのは俺だ」