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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第6章 正義感の強い彼は彼女を護りたい 【名探偵コナン 降谷零】


温かい味噌汁を一口啜ると、降谷の強張っていた肩の力がふっと抜けた。

「……美味しいな。君の料理は、どうしてこんなに落ち着くんだろう」
「そう言っていただけると、嬉しいです。私、これくらいしかお返しができませんから」

彼女は少し照れくさそうに笑い、隣で尻尾を振るハロの頭を撫でた。
ふと、降谷の箸が止まる。
ふっくらとした彼女の頬や、穏やかな眼差し。
かつて路地裏で震えていた面影は消えつつあったが、同時に降谷の胸には罪悪感が首をもたげていた。

「……なあ。君は、退屈ではないか?」
「え……?」
「僕の事情で、君をここから一歩も出さず、風見や僕といった限られた人間にしか会わせていない。同世代の友人も作れず、ずっと家の中で……」

降谷の声には、自責の念が混じっていた。
彼女を救ったつもりで、結局は「セーフハウス」という別の檻に閉じ込めているのではないか、という疑念。

「そんなこと、一度も思ったことありません」

彼女は降谷の瞳を真っ直ぐに見返した。

「外の世界は知りません。でも、あそこにいた時と違って、今は自分の意志でここにいたいって思っているんです。降谷さんが帰ってくる場所を、温めておきたいって……それじゃ、駄目ですか?」
「…………」

降谷は言葉を失った。
これまで、彼にとって家とは単なる「寝床」でしかなかった。
けれど今は、暗い夜道を歩きながら、この部屋の明かりと、彼女の「お帰りなさい」を無意識に求めている自分に気づいてしまった。

「駄目なわけないだろう。……むしろ、居心地が良すぎて、仕事に戻るのが嫌になりそうだ」

降谷は少しだけ茶化すように言って、最後の卵焼きを口に運んだ。 

「……本当ですか? じゃあ、明日もお仕事頑張れるように、デザートも用意しておきますね」
「はは、それは楽しみだ」

会話の端々に滲む温かさが、降谷の張り詰めた神経をほどいていく。
公安警察としての仮面を脱ぎ捨て、ただの「降谷零」として呼吸ができるこの場所を、彼は何よりも大切に思い始めていた。
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