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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第20章 神業


(……呪力を付与。……それなら、私にも出来る)


理屈さえ分かってしまえば、私の頭は一瞬でその原理を理解していった。

つまり呪力同士を掛け合わせて、"正の呪力"へと織り直してしまえばいい。



─── 私の術式は、対象への"呪力の付与量"が最大の要であり、難点。



モノに呪力を付与する時、その量をほんの少しでも誤れば、対象は負荷に耐えきれずに壊れてしまうか、十分な呪力量を得られずに術式で操作ができなくなってしまう。


だからこそ、私はその微細な呪力の調整を、故郷に居た時からずっと、血の滲むような感覚で鍛え上げてきたのだ。


呪力の付与なんて"簡単なこと"ならば、私の術式を使えば容易なことだった。



「………あの、すみません」



静かにベッドを抜けて立ち上がり、二つ隣のベッドへと真っ直ぐに歩み寄る。

そして そそくさと退室の準備をしていた術師の男性に声を掛けると、彼は小さく首を傾げ、私を瞳孔に捉えた。


「………その腕、私に治させてもらえませんか」
「え……」


包帯に巻かれた、右腕の無残な欠損部位。

それを指さして小さく呟くと、男性は驚いたように瞳を丸くして、私と自身の腕を何度も交互に見つめた。


「いや……気持ちは嬉しいですが、家入さんの反転術式でもダメだったんです。流石にもう、無理だと諦めたので……!」
「っ……お願いします!!ぜったい、失敗しないので…!!」


遠慮がちに断られてもなお、今の私は、引き下がる選択肢なんて持ち合わせていなかった。


……私が今から試そうとしていることは、きっと厳密には、反転術式ではない。

彼の体内に巡る呪力に私の呪力を付与して、絡めて、彼の体内で"正のエネルギー"を生成させる。


付与する呪力量のバランスを万が一にも間違えれば、その負荷のせいで、彼は"ヒト"では居られなくなるかもしれない。


そんな漠然とした不安はあったけれど、私はそれ以上に、五条さんと出会って、恵くんと二人で研鑽した自分の呪力コントロールを信じているから。


「………ま、まあ、そこまで言われたら、」

「……!!」


私の熱意に負けてくれたのか、それとも諦めてくれたのか。

どちらにせよ、彼は渋々といった様子で頷いて、痛々しく抉れた患部を、私の手元の方へとそっと差し出してくれた。
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