第20章 神業
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夢を見ていた。
見覚えのある、静かな村の風景。
だけど、私の知っている景色よりも建物は古く、境内へと続く鳥居だけが、鮮やかな赤に染まって新しく見えた。
そんな懐かしい村の中。神社の境内で静かに落ち葉の掃除をしている一人の女性は、巫女装束を身にまとい、私と同じ桜色の髪を風に靡かせている。
そして女性がふわりと髪を耳に掛けたとき、隙間から覗いた瞳は────真紅の色を宿していた。
まるで、大人になった自分があの村でそのまま成長を遂げたかのような錯覚を覚える夢に、なぜか心臓を直接掴まれたように胸が苦しくなった。
「巫女様!!!呪霊です!!」
空の上の視点から ぼうっと彼女を眺めていると、そこへ青白い顔をした男性が血相を変えて駆け込んでくる。
そんな彼を見た女性は、手にしていた箒を近くの大木へとそっと預け、男性を安心させるように優しく微笑んだ。
そして彼女は身にまとう巫女装束を解き、その布を無数の繊維となって木から木へと移ろわせ、その場から一瞬にして姿を消してしまった。
(……私と同じ、術式だ)
六眼なんて大層なものはなくても、何となく分かってしまった。
───これは、…この夢は、故郷で語り継がれていた"神子様"の記憶だ。
なぜ今、どうして私に。
混乱した頭でどれだけ考えてみても、この夢が本当に過去にあった現実の出来事なのか、それとも私の脳が作り上げた偶像なのか、境界線が分からなくなるだけだった。
「……!!巫女様が来たぞ!!」
「おお…っ!!」
私が混乱を初めてすぐ、神子様は騒動の渦中へと駆けつけ、そこに集まって怯えていた村人たちへ聖母のような笑みを振りまいていた。
直接その表情を向けられていないはずの私までもが、思わず安心させられてしまうほどに温かい笑み。
……だけど その直後、安堵は驚愕へと変わった。