第20章 神業
このまま上手く黙り込んで、話が自然消滅するのを待とう。
そう頭の中で算段を立て始めた瞬間、俺の目論見を見透かしたように虎杖が声を上げた。
「いや、アイツらに聞いた方が早いな!!」
「おい、バカA バカB!!コイツに何された」
虎杖の思いつきに便乗した釘崎が、直角にお辞儀したまま固まっている不良たちに怒涛の勢いで問いかける。
するとあろうことか、二人の不良は「俺ら……っていうか、この辺の不良、半グレ、その他諸々……伏黒さんにボコられてますから」と、バカ正直に口を滑らせた。
「…………ボコッ………た、」
再び虎杖たちの視線が突き刺さる。
その気まずさに視線を逸らしたまま観念して白状すると、案の定、また両サイドからがっつりと顔面を鷲掴みにされてしまった。
「なんでさっきからカタコトなんだよ!!!」
「何してんの!?オマエ何してんの!?」
何と言われても。
………あの時は、ナマエとの事もあって精神的にかなり荒れてた時期だった。
そこに最悪のタイミングで、不良どもが力づくで何らかの搾取でもしている現場を見かけてしまったのだろう。
正直あまり鮮明には残っていないが、だいたいそういうクソみたいな場面に出くわす度に、そいつらの顔面を片っ端から殴り、拳で黙らせていた記憶がぼんやりとある。
「コラ!!!何だ君たちは!!他校の生徒が入っちゃいかん!!」
「あ゛ぁん!?アンタこそ何よ!!」
「校務員さんだろ……なんで強気なの?」
過去の荒んだ記憶を振り返っていると、校舎の奥の方から一人の年配の男性がこちらに向かって血相を変えて駆けてきた。
もっともな正論に対して何故かヤンキーさながらに噛み付く釘崎と、それを背後から必死に宥める虎杖。
呆れながら視線をその男性の方へと移した瞬間、俺の目には、よく見知った顔が飛び込んできた。