第20章 神業
「そんで三人の共通点を調べたっス」
そう前置きした新田さんは、"被害者全員が過去に同じ中学校に在籍していた"という事実を俺たちへと伝達した。
「っていうと、昔三人が同じ呪いを受けて、時が経ってそれが発動したって感じ?」
「そうっス。それ濃厚っス」
新田さんの共有に、顎に手を添えた釘崎が即座に的確な推測を述べる。
それに間髪入れずに、新田さんは肯定するように食いついた。
そして俺を挟んで、虎杖は「スゲー釘崎」と感心し、釘崎は「当然」と鼻で笑って言ってのけた。
「で、今からその中学と三人の被害者の共通の知人に話を聞くので、三人とも術者視点で色々と探って欲しいっス」
それが補助監督の仕事だとはいえ、情報の共有から現場手配まで、手際の良さには内心で感心した。
そして、俺たちの仕事は現れた呪いを確実に祓うこと。
現に今、ナマエもそれに立ち向かっているのだから、俺は目の前の任務に集中するべきだ。
(…………わかってる、)
そう分かってるはずなのに、どうしても死地に向かったナマエの小さな背中が頭から離れない。
それが顔に出ていたのだろうか。
さっきまで虎杖相手に機嫌よく張り合っていたはずの釘崎から、不意に思い切り頭を引っ叩かれた。
「……なんだよ」
「その顔ヤメロ!!辛気臭ぇっつってんだろ!!」
ンなこと言われたって仕方ねぇだろ。
そう言い返してしまいたかったが、また すんでのところで言葉を飲み込んだ。
きっと、ぶっきらぼうに怒鳴っている釘崎も、さっきまで暢気にしていた虎杖も、俺と同じくらいナマエの安否を気にしていて、それを必死に誤魔化している。
二人を任された俺だけが、未練たらしくナマエの背中に引っ張られていていいわけがない。
「………スマン」
シートの奥へと深く身を沈めながら、ポツリと小さく謝罪の言葉を漏らす。
走る車内が妙に静まり返っていたせいか、その声は思いのほか大きく響いたように聞こえた。