第19章 いつか、また
気にするな、と遠回しに言いくるめるような不器用な言葉。
だけどその真っ直ぐな優しさがじんわりと胸に染みて、私は隣の恵くんをもう一度見上げて「……ありがと、恵くん」と言葉を返してみせる。
すると恵くんは、どこか満足げに「ん」とだけ短く返事をしてくれた。
沢山の提灯の明かりに照らされた彼の横顔を盗み見れば、その口角が、またほんの少しだけ嬉しそうに上を向いていたような気がする。
(………これが、りんごあめ)
屋台の光を反射してキラキラと真っ赤に輝くソレは、まるで本物の宝石のようで。
それを見つめていると、いつだったか、任務後に家まで送り届けた小さな男の子に、私の目がこれと似ていると言われたことを思い出す。
私が五条さんの目を宝石のように思うのと同じように、彼も、私の目を綺麗だと思って言ってくれたのだろうか。
(……そうだったら、うれしいな)
五条さんとのお揃いが、似通った部分がまたひとつ増えたようで、胸いっぱいに幸福感が押し寄せる。
「………何ニヤついてんだ」
「え゛っ…」
「早く食え。飴、溶けてくんぞ」
リンゴ飴をそっと夜空へと掲げ、キラキラと光を反射する様子をうっとりと眺めていると、私の手元を指さした恵くんに指摘をされてしまった。
「えっ!?これって溶けちゃうの!?」
「飴だからな」
「そっか……!!」
そんなやり取りの後、私は慌ててリンゴ飴に小さく舌を這わせた。
……甘くて美味しい。
けれど林檎の味は全くしなくて、見た目が林檎に似ているだけだったのだろうか、と首を傾げた時。
「……お前、その食い方だといつまで経っても食い終わんねぇぞ」
「え!?」
呆れたような声音が降ってきて恵くんを見上げると、案の定、今にも溜息を吐き出しそうな恵くんがこちらを見ていた。