第19章 いつか、また
「………わたし、は、」
五条さんから溢れ出る罪悪感に、たまらず、自分でも無意識のうちに五条さんの黒い上着の裾をぎゅっと掴んでいた。
「……私は、五条さんの娘でいられるだけで、十分すぎるくらい幸せなんです。……それなのに、私はいつも、貰ってばっかり」
そして、まだ上手くまとまりきっていない本音を、ゆっくりと吐き出していく。
「……五条さんが私を拾って育ててくれなかったら、虎杖くんや野薔薇ちゃん、二年の先輩たち────恵くん、津美紀ちゃんにも、出逢えなかった」
そうだ。
真っ赤に染まったあの村で、一人ぼっちで凍えていた私を拾い上げ、呪術師として、……一人の人間として今日まで育ててくれたのは、五条さんだ。
それだけでも有難いことなのに、五条さんは私に惜しみない愛を注いでくれて、……そして、他の何にも代えがたい、大切な人たちと出逢わせてくれた。
「もう既に、一生かけても返しきれないほどの恩があるんです」
ずっと下に向いていた視線をゆっくりと持ち上げ、サングラスの奥にある五条さんの瞳を真っ直ぐに射抜く。
そして未だに罪悪感を貼り付けたままの頬に そっと手を伸ばすと、それを迎えるように五条さんの膝が曲がる。
「……だから、五条さんのおかげで幸せな私に、謝らないでください」
そう言って、親指で頬をなぞるように触れると、五条さんは少しくすぐったそうに、また目を細めた。
五条さんはいつも私を慈しんでくれているけれど、私だって同じ気持ちで、同じ熱量で────五条さんを、愛してる。
「………なぁに言ってんの。ナマエ」
「いてっ、」
不敵に口角を歪めた五条さんに軽いデコピンをお見舞いされ、私は反射的に両手で額を押さえた。