第1章 兎に傘
桃の実験施設。
そこに数十名の鬼が囚われていると情報があった。
無陀野無人は単独でその施設に乗り込む。
実験体にされている鬼を逃がし、近くに潜伏してる仲間のところまで誘導。
桃は殲滅。
「出ろ。生きたければ」
鬼たちを見つけ、逃がした。
だが、ただ一人佇む少女。
実験で傷付いた患部から血が溢れ出す。
鬼の武器である血を抜かれてばかりの少女の姿は、鮮血に塗れた。
"暴走"。
その瞬間、無陀野無人は少女の殺害を決めた。
自我を失い、暴れることしか出来ない少女を楽にさせる、"それ"が唯一の手段。
少女の頭に兎の耳が生えた。
もちろん、血で出来た耳だ。
手には血で出来た杵。
「それで俺を搗く気か」
無陀野無人は指を傷付け血を流す。
傘を作り出し、開いた。
弓を構えた人型の血が頭上に数体、形成された。
「雨過て……そうか、わかった」
技を放とうとした無陀野無人は、少女の姿を見て、傘を閉じた。
血蝕解放が解ける。
少女の頬に一筋、雫が零れたのを見逃さなかった。
次の瞬間には、二つの影が重なる。
少女の腹を殴り、気絶させようと試みた。
倒れそうになる少女を支えると、血が冷たい床に落ち、暴走が解けた。
ぽたぽたと零れていく深紅の雫。