第1章 兎に傘
「っ、あ…ふ、ん……」
勝手に漏れる声もいつも恥ずかしくて、自分の声じゃないみたいで…必死に口元を押さえる。
無人さんの指が擽ったくて気持ちよくなる場所を撫でる。
無人さんの顔はいつも、静かな無表情だった。
ビクビクと震える身体、跳ねる腰。
ただ水音を立てながら、指の動きは激しくなっていく。
知らない行為。
だけど、下着の中は…無人さん以外には絶対に触れられたくなかった。
気持ちいいことだと知っているのに、他の誰かに見られるのも触れられるのも、嫌だった。
優しく、でも激しく指の腹で擦られていると、擽ったくて…いつも最後には何かが弾ける。
この瞬間が寂しく思うのに、一番気持ちよかった。
「んっ、んん…!」
「……もう大丈夫か?満足したなら寝ろ」
腰を痙攣させた私をいつもと変わらない目で見下ろし、下着の中から手を引き抜いていく。
「これって…なんなんですか?男の人も…無人さんも、同じとこ触ったら気持ちいいんですか?」
「あぁ。お前と形は違うがな」
触りたいと手を伸ばしても、無人さんはいらないと部屋を出ていく。
学園の寮で、しかも同じ部屋で暮らしているのに、私が落ち着くといなくなってしまう。
寂しかった。