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【桃源暗鬼】有用と無駄〈無陀野無人〉

第2章 傘の内側


私の服を取り出し、着せてくれる。
そのまま手を引かれて部屋を出た。


「どこ行くんですか?」

「職員用のシャワー室だ。
大浴場はもう施錠されている」


淡々と答える無人さんの背中をただ追いかける。
でもついたところはシャワー室ではなく、保健室だった。

誰もいない保健室の鍵を開け、中に入る。
棚を漁り、何かを取り出した彼は、それをポケットに入れた。

シャワー室に着くと何も言わず服を脱がされて、そのまま一緒にシャワーを浴びる。
後ろから抱き締めるように下腹部に手を回される感覚が、全てを包み込まれているようで、すごく安心していた。

少しずつ近付いていく距離が心地良くて…胸を踊らせる。


「ねぇ無人さん…
――死ぬ時は…抱き締めて、キスをして欲しいな」

「……死ぬ為に生きてるのか?
俺と生きる為だろ
それと…月より先に俺が死ぬ
お前の死に顔は、見たくない」


大切にされているのはずっと前から、感覚としてわかっていた。
でも最近は…大切の他にも何かを与えられている気がしていた。


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