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【桃源暗鬼】有用と無駄〈無陀野無人〉

第2章 傘の内側


ご飯を食べてお風呂に入ったのだが…あれは地獄だった。
誰もひと言も喋らず、漣さんは男風呂に行ってしまった。
慌てて追いかけた私もバカだと思う。

特別な人のしか見たくないと思うのが普通らしく、私はすぐに目を瞑った。
大丈夫、誰の身体も見ていない。


「月、こっちだ」


落ち着いた声が聞こえる方に顔を向けると、温かい何かが目元を覆った。
無人さんの手。
いつの間に来たのだろう。

そのまま後ろに引かれて、どこかへ連れて行かれる。
手が離されると光が痛くて、また目をギュッと瞑った。

後ろの壁…扉?に手をつく気配がして、唇に何かが触れる。
またキスされた。
嬉しい…。

目を開けると、無人さんで光が遮られていて、痛くなかった。
後ろからはドンドンと扉を叩く音がする。


「おい、誰かいんのか?
開けろ」


皇后崎くんだ。
退けようと身動いだが、そのまま抱き寄せられて端に寄る。

出てきた皇后崎くんの気配はしたが、私の視界は無人さんの胸で覆われていた。


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