第46章 秋の香りと想い
すると五条が、ひょいと顔を覗き込んできた
「なに?僕たちと行きたくない?」
「ち、違うよ!」
「じゃあ、決まりな~」
あっさりと、五条は言った
「紅海は何食べたいか考えといて」
『うん…じゃあ、私、お好み焼き食べたい!』
「お好み焼きか、紅海ちゃんらしいな」
遊佐が笑った
「だって好きなんだもん」
「ええやん、ほな、店探そか」
スマホを取り出す
「お好み焼きね、賛成」
五条は軽く手を上げた
「まぁ、紅海が食べたいものなら、何でも良いんだけどね」
あまりにも自然な口調だった
遊佐は一瞬だけ五条を見たが、何も言わない
『ありがとう、悟!』
そう言って、いつもの笑顔を向ける紅海
五条は、目隠し越しに紅海の笑顔を見て満足する
明日になれば、また任務があり、教師としての仕事があり、呪術師としての日常が戻ってくる
今日みたいな時間が、いつまでも続くわけではない
それでも…もう少しだけ、この余韻に浸っていたいと思った
「じゃ、決まり」
五条は二人を見渡す
「君達!今日は僕が付き合ってあげるんだからね、感謝してよね」
「いやいや、誘ったんは俺ですけど」
「由布湯…そんな細かいと、もてないよー?」
「くっ…五条さんに言われたら…妙な説得力が…」
また始まった二人の言い合いに、紅海が笑う
『ふふっ……楽しみだなぁ』
五条は、その声を聞きながら
こういう時間、悪くないな…と思う
くだらない会話をして、適当に歩きだす
校舎を出ると、綺麗なグラデーションの空が広がっていた
五条は天をあおぐ…高専時代に戻ったような感覚だった