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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第46章 秋の香りと想い


文化祭が終わる頃
校内を満たしていた賑やかな声も、少しずつ落ち着いていた

片付けをする生徒たち
飾りを外された教室、廊下に残された紙吹雪

さっきまでの華やかさが嘘のように、いつもの高専へと戻っていく
紅海は、空になった教室を眺めていた
『……終わっちゃったね』
誰にともなく呟く

今日は楽しかった
生徒たちの笑顔も、慣れない衣装に慌てたことも
どれも、いつもとは少し違う一日だった

紅海は、片付けの終わった教室をもう一度見渡す
ほんの少しだけ、昔に戻れたような気がした

けれど、それは一瞬のこと
楽しい時間は、いつだって終わる
そう思うと、胸の奥がわずかに寂しくなった

「紅海ちゃん」
背後から声がした

振り返ると、遊佐が立っていた
『あ、遊佐くん、お疲れさま!』
「お疲れさん。今日は大変やったなぁ」
『ううん、楽しかったよ!』
「そらよかった」
遊佐は、いつもの穏やかな笑みを浮かべた

それから、少し考えるように紅海を見た
「なあ、紅海ちゃん」
『ん?』
「久しぶりやし、飲みに行かへん?」
『えっ?』
紅海は目を瞬かせた

「せっかく文化祭も終わったことやし、たまにはええやろ?」
『えっと……』
紅海は、返事に困って視線を泳がせた
行きたい気持ちはある
けれど、自由に出歩ける身ではない

現在の紅海は監視下に置かれているため、プライベートで外出する場合にも、原則として一級以上の術師が同行する必要があった
飲みに行くとなれば、なおさらだ

『…あのね、遊佐くん』
「知っとるよ、紅海ちゃん、一人で出られへんのやろ?」

遊佐は、紅海が言い終える前に頷いた
「五条さんも誘ったらええやろ?」
『……良いの?』
紅海が顔を上げる
遊佐は、何でもないことのように続けた

「ちょうどええやん、俺と紅海ちゃんの二人きりやと、五条さんに怒られそうやしなぁ」

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