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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第45章 文化祭とオムライス


自分がこれからも、どうしたいのか
そんなこと、考えたことがなかったわけではない
けれど、考えるたびに、答えを出す前に引っ込めてしまっていた

悟が困ったら嫌だから
今の関係が壊れたら嫌だから
自分の勘違いだったら、恥ずかしいから

だから、今のまま、悟の隣にいられればいい
そう思っていた

『太田さん…私、悟といると…楽しいんです』
口にした途端、胸の奥がじんわりと熱くなった

『一緒にいると、いつもより前向きになれるっていうか…
嫌なことがあっても、まあいっかって思えたりして』

紅海は、困ったように笑った
『だから…ずっと、このままだったらいいなって』

太田は静かに聞いていた

『…あ』
紅海の声が止まった
自分で口にして、初めて気づいたようだった

ずっと…ずっと、このままでいられたら…

それは、今の関係を、ただ守りたいというだけなのだろうか

「紅海ちゃん」
太田は、答えを代わりに言ってやることはしなかった
「その気持ち、大事にしていいと思うよ」
『…うん』

「今すぐ答えを出さなくてもいいし、無理に何かを変えなくてもいい
でも、楽しいって思えるなら、遠慮しなくていいんだから」

紅海は、ゆっくり頷いた
『……ありがとう、太田さん』

「どういたしまして
それにしても…五条さんかぁ」

『えっ!? な、何?』

「ううん…なかなかすごい人だなと思って」
『すごい?』

「うん…顔もいいし、背も高いし、仕事もできそうだし…モテるでしょ」
『…そう、だね』

「ちょっと軽そうだけど」
『ふふっ…あはは!』

紅海が思わず吹き出した
「そこは否定しないんだ?」
『だって……悟、軽いもん!すっごく!』

「ふふふ」
二人で小さく笑い合う

「でもね、スペックがいいとかより……紅海ちゃんが、その人と一緒にいてどう感じるか…それが一番大事だと思うよ」

『……うん』
「じゃあ、私はもう少し文化祭を見てくるね、旦那が待ってるから」

『あっ、ごめんなさい!引き止めちゃって』
「いいのよ、私が話したかったんだから
また今度、ゆっくり話そうね」

『うん! またご飯行きましょ!』

太田は手を振り、夫の待つ方へ歩いていった
紅海は、その背中を見送る

彼女の胸の中には、まだ答えの出ない気持ちが残っていた
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