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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第44章 おいでとさぼり



「……そうかい…あんたの母さんより、鍛えがいがありそうだよ」
そして、もう一度構えを取る
「じゃあ、もう一回だ」
『はい!』
紅海も小さな拳を握る
稽古は続いた

     
紅海は、浅葱の気持ちを全部理解していたわけではない
なんとなく分かっていた

お祖母ちゃんは、わたしが、いなくなっちゃうのが怖いのかも
だから、わたしに強くなってほしいんだよね
だから、厳しく教えてくれるんだよね
 
泣いてはいけない
頑張らなければいけない
そんなふうに、幼い紅海は考えていた


「紅海」
『はい』
「無理をして笑わなくていいんだよ」
『……』

「辛かったら、辛いって言いなさい」
紅海は少しだけ目を丸くした
『……うん』
「我慢するのと、頑張るのは違うからね」
『……』
紅海には、その意味がまだ全部は分からなかったが
浅葱が自分のことを心配していることだけは分かった
『……おばあちゃん』
「なんだい?」

『わたし、頑張るね』
浅葱は一瞬、黙った

「……ああ」
紅海の頭に手を置く
「一緒に頑張ろう」

『うん』
その日から紅海の小さな稽古の日々が始まった
それは、紅海を呪術師にするためのものではない

いつかこの子が、自分で自分の生き方を選べるように
その選択を、誰にも奪わせないためのもの

日々の稽古をするうちに
紅海は、母の呪術師と言う職業に近づけた気がしていて
お母さんも、こうやってお祖母ちゃんから稽古を付けて貰ってたのかなと
少し嬉しくも思っていた…

「ほら!考え事してたね?気を抜くんじゃないよ」
ピシッと足元を払われる
『わっ』

厳しい時も有って…
その時は、サボって逃げていた少年の事を思い出した

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