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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第44章 おいでとさぼり


道路脇に立っていたのは、一人の少年だった
蒼い瞳が妙に澄んでいる

「……」

少年は紅海を見る
そして、彼女の周囲を見る
六眼には、隠しようもなく映っていた

異様なほどの呪力を持っている
「……自分で気づいてないの?」
思わず呟く

紅海は首を傾げた
『……?』

少年の視線が、先ほど吹き飛ばした呪霊へ戻る
まだ消えていない…ぐしゃりと潰れた身体を起こし、こちらを睨んでいる

「しつこ…」
少年がボールを蹴るように、足を振り上げる
呪霊が再び吹き飛び…今度こそ、跡形もなく消えた
紅海は、その様子をじっと見ていた
 
『……かわいそう』
「……は?」

 少年が振り返る

「今のが?」
『うん』

「俺、今そいつ祓ったんだけど」
『うん』
「……かわいそうかよ?」
紅海はこくんと頷いた

『だって、いなくなっちゃったよ?』
「……」
少年は紅海を見る

何だコイツ

それが最初の感想だった

普通なら怖がるか…泣くか、逃げる
なのに、この子は祓われた呪霊を心配している
 
しかも、本人は、自分がとんでもない量の呪力を持っていることも自覚がないらしい

「……変なの」
『?』
「いや、なんでもない」
少年は興味を失ったように顔を逸らした
その時
「悟様!」
遠くから声が響いた
少年の眉がぴくりと動く

「……げ」
紅海が振り返る
通りの向こうから、何人かの大人がこちらへ走ってきている

「悟様! お待ちください!」
「いたぞ!」
「こちらです!」

「……見つかったか」
少年は面倒そうに呟いた…紅海が少年を見る

『追いかけられてるの?』
「うん」
『何か悪いことしたの?』
「俺?」
 少年は少し考えた

「サボり」
『……さぼり?』
「そう」
 あっさり答える

「今日、勉強する予定だったんだけどさ」
 少年は大きくため息をついた

「めんどくさくて」
「……」
 
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