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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第44章 おいでとさぼり


     
紅海は、椅子に座ったまま
足をぶらぶらさせながら、小さなお菓子を一つ食べている

その視線の先に、さっきの呪霊がいた
小さな身体を揺らして、もう一度、手招きをしている

紅海は、子犬に話しかけるように、少しだけ身を乗り出した

『……あそぶの?』
返事はない
ただ、呪霊が笑った…笑ったように見えた

紅海は椅子から降りて…

そして、一歩
また一歩…呪霊の方へ近づいていく

そのとき…
白い髪の少年が、向こうから歩いてきた
まだ幼いが…
その蒼い瞳目――
六眼が、紅海の周囲に満ちる異常な呪力を捉えていた


紅海は、呪霊の方へ歩いていった
怖くはなかった
少なくとも、今まで怖いと思ったことはない

昔から見えていたものだからだ
犬や猫とは少し違う…でも、動物みたいなもの

父や母を殺した呪霊は悪い呪霊
良い呪霊もいる…そう思っていた

『…おいでって、してる』
紅海が小さく呟く

呪霊は、紅海の言葉に嬉しそうに身体を揺らしている
もう少し…もう少しだけ近づく
紅海が手を伸ばそうとした、その瞬間だった

――ぐわっ

呪霊の口が、大きく開いた
人間の顔ほどもある口…その奥には、何本ものギザギザの歯が並んでいる

『………』
紅海は、まだ気づいていない
呪霊は身体を低くした。
今までの愛想のいい仕草とはまるで違う
獲物に飛びかかる獣のように
 
そして――

紅海へ向かって、口を開け飛び掛かった
がちん!と、歯が鳴る

「――邪魔」
 
次の瞬間、呪霊の身体が吹き飛んでいた
紅海の目の前から、呪霊が一瞬で消える
『…え?』
何が起きたのか分からず、紅海が瞬きをする
 
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