第43章 付添いと弁当
高専時代
四月
2年生になって数日
教室の窓から、実技を終えた1年生が歩いているのが見えた
紅海は頬杖をついたまま、その二人を目で追っている
『ねぇねぇ、新入生って可愛いね』
「……また見てる」
硝子が机に突っ伏したまま言った
『だって、こないだまで中学生だったんだよ?』
「私らも1年前は、そうだったでしょ?」
『そうなんだけど……』
紅海は嬉しそうに目を細めた
『なんか、私たちが先輩になったんだなぁって』
「実感ないな」
夏油が教科書から顔を上げる
「昨日まで一年だったのに、急に先輩扱いされてもね」
『でも先輩って呼ばれるの、ちょっと嬉しくない?』
紅海が聞くと、夏油は一瞬考えた
「……まあ、悪い気はしないかな」
『でしょ?』
「ただ、君は嬉しそうすぎるけどね」
『えぇ?』
紅海が首を傾げる
その横から、五条が口を挟んだ
「俺は別に、元々、先輩よりも強けりゃ、もちろん後輩より強いし」
「先輩と強さは関係ないだろ」
あきれたように夏油がつっこむ
「あるじゃん」
「ないよ」
「あるって」
「ない」
硝子が間に割って入る
「傑、細かい」
「いや、悟が雑なんだよ」
五条は鼻で笑った
「俺達より強いヤツなんていないんだから、細かいこと気にすんなよ」
「そういうところだよ」
夏油は呆れたように言いながら、教科書を閉じる
「……まあ、昨日の歓迎会では君も嬉しそうだったじゃないか」
五条はイタズラな笑みを浮かべ、サプライズ歓迎会の事を思い出す
「あれはサプライズだったからなぁ」
「どういう理屈?」
「驚いてる奴の顔見るの楽しいだろ?
それに新参者を歓迎しないとか、ガキみたいなことは言わねぇよ」
「ふぅん」
硝子が顔だけ上げる
「ガキも成長ってするんだ?」
「……硝子、喧嘩売ってる?」
「別に」
淡々とした返事
五条が面白くなさそうに舌打ちする
紅海はそんな三人を見て、くすくす笑った