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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第42章 影と幽霊


昼間よりも冷えた宿舎の廊下を二人で歩く
けれど、部屋の前まで来れば、それぞれの足は自然と左右に分かれた

紅海が自室の鍵を回す
ほとんど同時に、隣でも鍵の音がした
…が、五条は扉を開けながら
「紅海、晩飯食べた?」
『うん、怪談話のときに食堂で…』

紅海はそこで少し考えた
『…いや、逆か?食堂でご飯食べてたら怪談話が始まったんだった』

「ぷっ…どっちでも良いよ」
彼女の言葉に、やっぱ、面白…と、吹き出す
「食べたんなら、いっか」
五条はそれだけ返して、自分の部屋へ入る

紅海も靴を脱ぎ、ふと隣の部屋に声をかける
『悟は? ご飯まだなの?』
「まだ」
リビングのカーテンを隔てて聞こえてくる

『何か簡単なの作って持っていこうか?』
「いや、いいよ…紅海、疲れてるでしょ」

ロールカーテンを強制的に横にずらして答える
『大丈夫だよ』
「そう?」

『うん』
少しの間
五条が、何か思いついたように言った
「あ」
『?』

「疲れてるんじゃなくて、もしかして――
憑かれてた?」
にやっと紅海をみる

紅海の顔から血の気が引いた

『もぉ!また思い出しちゃうでしょ!!』
ロールカーテンを完全にあげて抗議する
「はははっ」
『笑い事じゃないよ!』

「いや、だって紅海の反応良すぎ」
『悟が意地悪なんだよ!』

「昔からじゃん」
『開き直らないでよ…』

紅海は頬を膨らませながら腕を組む

方を揺らして笑う五条…少し考える
「…で?」
『なに?』

「今日、一人で寝れんの?」
『寝れるよ』
口を尖らせながら、ロールカーテンを完全にあげてキッチンへ移動する
「ふーん」

そんな紅海の導線を目で追いながら五条は壁にもたれた
「じゃあいいけど」

その言い方が、妙に引っかかった
紅海が顔を上げる
『なに、その言い方』

「別に?」
『絶対なんかあるでしょ』
キッチンから五条の前に戻ってくる紅海…

「いや?」
五条は口元だけ笑った
「紅海が寝るまで起きててやろっかなぁ、と思っただけ」

『え?』
「怖いんでしょ?」

『……』
「なんなら、ベッドの横にいてあげてもいいけど」

あまりにも平然と言うものだから
紅海は一瞬、意味を理解するのが遅れた
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