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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第42章 影と幽霊


紅海は歩いた…少しだけ早足で
いや実は少しどころではない
さっきから明らかに歩く速度が上がっている

早く家に戻りたい灯りのあるところへ
そう思ってしまう

別に何かいるわけじゃない…
だって、呪霊なら気配で分かるから

だが、頭の中には、夕食時に聞いた怪談がまだ残っていた

『……』
紅海は自分の肩を抱くようにして、さらに歩く
その時だった
「紅海?」
『ひゃあっ!!』
 背後から突然声を掛けられ、紅海の身体が跳ねた

 勢いよく振り返る
「な、な、なに?」
『……』
 そこにいたのは、五条だった
 長い手足を持て余すように立っている
 いつもの黒い目隠し

紅海は、胸の奥から一気に力が抜けるのを感じた
『……悟』
「うん?僕だけど」
『……びっくりしたぁ……』
「こっちがびっくりしたんだけど?何、その声」
『だって急に後ろから……』
「普通に呼んだだけだろ?」
『……』
 紅海は、ほっと息を吐いた
 それから、ふと五条の顔を見る
 
――あれ?今日はサングラスじゃないんだ
目隠し…いつもなら、だいたい学校の中や任務では目隠し
任務終わりや、外ではサングラスということも多いのに
まぁ、気分で替えてるのかもしれないけど

ほんの一瞬、少しだけ残念だと思ってしまった
やっぱりサングラスの方が目が見えてて…
その瞬間、自分で自分に引っかかる
――残念?何で?
悟は悟なのに…目隠しだろうがサングラスだろうが、別に何も変わらない

『……』
意味のないことを考え結論づけて、紅海は視線を逸らした
「で?」
『え?』

「こんなところで何してんの」
『何でもないよ…普通に帰宅中』

「ふーん」
五条が紅海を見る
長い付き合いだから分かる、紅海が何かを誤魔化しているときの顔だ
『ちょっと……放課後に怪談話、聞いちゃって』
「あ~」
五条はすぐに察した
「そういや紅海、昔から幽霊苦手だったね」
『うん……』

「まだダメなの?」
『だって、怖いものは怖いよ』

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