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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第41章 事務と信頼



「……嫌な予感しかしないんですよね」
『そこまで?』
「五条さんの場合、私の嫌な予感は完全に当たりますから」
と言うか、嫌な予感の時にしか電話は掛かって来ない気もする

紅海はクスクスと肩を揺らした
『じゃあ、頑張って』
「他人事ですね……」

『だって私に電話じゃないんだもん』
「それは羨ましい……」
伊地知が諦めたように画面を指で滑らせた
「はい、伊地知です」
「はい……はい」
紅海は手元の書類に視線を戻した

電話の向こうから声は聞こえない
けれど、伊地知の表情だけで、だいたい分かる
「え?」
少し間
「えー!?」
紅海が顔を上げる

伊地知は明らかに困惑していた
「……分かりました」
通話が切れる
しばらくスマートフォンを見つめた後、伊地知が深々と息を吐いた
「はぁ……」
『どうしたの?』

「今すぐ任務に行くので、車を出せと……」
『ああ……』

「ということで、行ってきます」
伊地知は立ち上がり、机の上の書類をまとめる
「すみませんが、分かるところまでで構いませんので、残りは戻ってから私が処理します」
『うん、分かった!』
紅海が笑う
『頑張ってきてね』
「……ありがとうございます」
伊地知は一瞬だけ足を止めた

紅海は何でもない顔で、書類に視線を戻している
その横顔を見て、伊地知は少しだけ表情を緩めた
「……頑張ってきます」

紅海は、しばらく伊地知の背中を見ていた
それから小さく笑う
『……信頼されてるねぇ、イッチー』
廊下を歩いていた伊地知の足が止まった。
「……信頼、ですかねぇ」
独り言のように呟く

五条悟…あの人は、人使いが荒い
無茶を言うし、急に呼び出す
こちらの都合など、ほとんど考えない

そして、断れば「伊地知なら大丈夫だろ」と笑う

だから時々、本当に思う
――自分は信頼されているのではなく、単純に便利に使われているだけなのではないか
「……まあ。」
伊地知は小さく息を吐いた
それでも、五条が本当に危険な場所へ行く時、最後に車を頼むのは自分だ

「……信頼かぁ」
そう呟いて、伊地知は職員室を後にした
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