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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第40章 母と姉


これ以上ここにいると、母親から何を言われるか分からないので、紅海と五条を車へ促す

『ありがとう、叔父さん』
「礼はいらない」
『うん』


紅海が後部座席へ乗り込み、五条も続く

千草は運転席へ乗り込み、エンジンをかける
車内には、しばらく沈黙が落ちた


バックミラーに、後部座席の二人が映る
紅海は窓の外を眺めている
五条はそんな紅海を横目で見ていた

千草は前を向いたまま、アクセルを踏む
――余計なことを言われる前に、帰ろう
それだけを考えていた

「どうする?」
『ん?』
「何買う?」
『えっと……着替えと、歯ブラシと……』
「僕、甘いもの欲しいんだけど?」
『悟は自分のは自分で選んでよ』
「いやいや、紅海のセンスで選んでよ」

「……」
後部座席から聞こえる二人の会話は、妙に自然だった
それが少しだけ気に障る

けれど、その理由を考えるより先に
信号が青になった
千草は何も言わず、車を走らせた

車が神社を出て、山道を下っていく
しばらくは、エンジン音とタイヤが道路を走る音だけが続いていた
後部座席では、紅海が窓の外を眺めている

隣では五条が、何となくスマホを弄っていた
ふと、五条が前の運転席へ声を掛ける

「ねぇ、チグサンさぁ」

「……」
千草の眉がぴくりと動いた

「ちぐ……?何だ、その呼び方は」
「千草さんだから、チグサン」
五条は、助手席と運転席の間に顔を出した

シートベルトしろ…と小声で言いつつ
「年上に向かって…初対面の人間に付ける呼び方ではないな」
「でももう初対面じゃないじゃん」
紅海がキョロキョロ二人を見やる
「今日が初対面だ」
「じゃあ今日から知り合い」

「勝手に決めるな…」

五条は楽しそうに笑った
「チグサンも、やっぱ親には弱いんだね」
「……は?」

漸く、五条は座席に深く掛けて話し始める…きっと、会話出来ると安心したから
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