第40章 母と姉
その視線を受けて、五条が聞く
「いつも泊まってるの?」
『うん…毎年じゃないけど……お母さんの命日の時は大抵…』
「じゃあ、泊まれば?」
『でも……』
紅海は少し躊躇する…監視下に置かれている以上、自分だけ残る訳にはいかない
『京都の時みたいに、悟に迷惑かけられないよ』
五条は一瞬、目を瞬いた
「何それ」
『だって、あの時だって悟、全然寝てなかったでしょ?』
「あのくらい、楽勝だって…それに、ここは結界がしっかりしてるからね…高専くらい、安心して寝られる」
『でも――』
「浅葱さん…僕も一緒に泊まっても良いんでしょ?宜しく」
五条は紅海の言葉を遮るように、浅葱へ視線を向けた
浅葱は微笑む
「もちろん、あんた達、一緒でないといけない、何か訳があるんだろ…深くは聞かないよ」
「さすが、紅海のばあちゃんだね」
『お祖母ちゃん…ありがとう…』
「じゃあ、明日の事は、伊地知には僕から言っとく」
『うん……』
紅海は遠慮しながら笑う
「今日は、浅葱さんの孫として過ごしな?」
五条はその顔を見て、少しだけ笑った
「呪術師でない、ただの紅海…ね?」
「思ったより気が利くじゃないか」
浅葱が静かに笑う
『……じゃあ…お言葉に甘えようかな』
「うん」
五条は満足そうに頷いた
五条は嬉しそうな紅海のその横顔を見ながら
今日一日、ずっと思ってきた
自分は、紅海の事を知ってたと思ったのに
知らなかった事が多いことにビックリした
――この子は、いつから自分をこんなに小さく扱うようになったのだろう
知らないままにしておくのは、自分の中で納得できなかった
『……あ!でも…』
荷物の整理をし始めたところで、紅海が思い出す
『泊まるつもりじゃなかったから、何も持ってきてないんだよね……』
「じゃ、買いにいく??」
五条は何でもないことのように言う
『そうだね…悟も、何か買いに行く?』
「僕は別に何でもいいよ…コンビニでもスーパーでも」
その会話を聞いていた浅葱が、ふと思い出したように言った