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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第40章 母と姉


それから隣に立つ五条へ目を向けた
「五条さん」
「どーも、久しぶり」

「相変わらずだねぇ」
「何が?」

「軽い」
「えー?挨拶しただけでしょ!?」
浅葱も五条同じタイミングで笑う

けれど浅葱の目には、ほんの少しだけ警戒が残っていた
かつて、紅海を送ってきた夜

自宅の玄関先で、孫と、この男が妙に近い距離にいたことを、浅葱はまだ覚えているし
紅海のお見合いの時に、何かと理由をつけて送迎をしていた…

五条は、その視線にも気付いている
けれど、気にした様子はない


「今日は、わざわざありがとう」
そう言う、浅葱は、五条が一緒に来ると聞いた時
何か理由でもあるのだろうと感じていたが、敢えて聞かなかった

奥へ入ると人が少し増えていく

『あ、悟、ちょっとごめん』
紅海は、少し離れた場所に立つ男へ歩み寄った

黒い礼服
背筋の伸びた姿
四十代半ば

『……叔父さん』

男が振り返る
「紅海か…久しぶりだな」
『うん、久しぶり』

千草の視線が、紅海のずっと後ろでこちらを見ている五条へ向く
『あ、えっと、あの人は…』
その顔を見て、わずかに目を細めた

「……五条悟」
『知ってるの?』

「呪術界で、知らない方がおかしい」
その言葉に、紅海は少しだけ苦笑した

『今日、付き添ってもらったの』
「付き添い?」

『えっと、高校の同期で…今、一緒に高専で働いてて』
「五条家当主が、私人の霊祭へ同行する理由としては、少々弱いな」

千草はしどろもどろな紅海を見る
それから、もう一度五条を見る

「まさか恋人か?」
『ち、違います!』

紅海の声が裏返った
千草の眉が僅かに動く

「そうか分かった」

そして千草は、低く呟いた
「お前は、よく毎年、姉さんの霊祭へ来られるものだ」
『……叔父さん』
紅海の肩が小さく震える

「姉さんも、義兄さんも、お前を庇って死んだ。」

境内を吹き抜ける風が、木々を揺らした
千草は紅海を見つめる
紅海は目を合わせられない
「そして、お前は…二人の呪力を受け継ぎ、一級術師になった
……皮肉な話だ」

紅海は何も言えなかった
反論が浮かばない

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