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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳



「ぼーっとしない…まだ終わってないわ」
『真依ちゃん』

「……久しぶり…先生…交流会戦の時…いなかったじゃない…また体調でも崩したんじゃないかって、皆で話してたの」

言葉は棘だらけだった
それでも、その表情にはどこか安堵が滲んでいる


紅海は困ったように笑った
『ごめんね…本当は、皆の成長も見たかったんだけど』
紅海は交流会時、大変だったのだが…それは生徒達には言わない
「……ふん、そういうところよ」
真依は、視線をそらす

教師だった頃と同じように
紅海を中心として、自然に一つの輪ができている

そこへ、屋根の上から加茂の落ち着いた声が届く

「流鏑馬先生」
紅海が見上げる

「敵の呪霊は増加傾向です…」

加茂は周囲を見回した
「それに、最初よりも等級の上がった呪霊が多くなっている気がします」

その言葉に、紅海の表情が静かに変わる
『……やっぱり』

東堂も頷いた
「俺もそう思っていた、呪霊が戦っているうちに強くなっている気がする」

紅海はゆっくりと周囲を見渡す
強くなる呪霊や変化球な帳…その全てを操る見えない意思を感じる

『早く術者を探さなきゃ』
その一言に、京都校の生徒たちは迷わず頷いた

懐かしむ時間はない…
東堂たちと別れ、紅海は一人で帳の中心、清水寺へ続く石畳を駆けていた
先ほどまで響いていた悲鳴が嘘のように遠ざかる

呪霊の気配もない
風だけが木々を揺らし、境内へ乾いた葉を転がしていく
『……静か…』

異様な静けさだった…思わず足を止める
この区域だけが切り離されたように穏やかだ
その時、石段の向こうに黒い影が見えた

紅海の身体が反射的に動く
腰の呪具へ手を伸ばし、一気に間合いを詰めた

だが
「……先生」
聞き慣れた声だった

『……!』
寸前で刃が止まる
『わっ……メカ丸くん!ご、ごめん!』

メカ丸は肩を竦める
「構いません」

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