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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳



「呪霊だけ相手して終わり、って感じじゃなさそうだし
…もうちょっと、全体を見てみるよ」

五条の判断に、遊佐も異論はなかった
「分かりました」


紅海は小さく頷く
『悟、気を付けてね』
「紅海もね」
それだけ言い残し、五条は建物の屋上へ跳んだ

一瞬で姿が遠ざかる
紅海はその背中を見送り、反対方向へ駆け出した

石畳を蹴る
遠くから悲鳴が聞こえる
建物の陰では一般人が身を寄せ合い、不安そうに周囲を見回していた
その頭上を、一筋の影が横切る

「流鏑馬先生!」
聞き覚えのある声だった

見上げる
箒へ跨った西宮桃が上空から手を振っている

『桃ちゃん!』
「先生、こっち!」

箒が大きく旋回する
「南側の路地に一般人が固まってます!」

「呪霊は四体!」
「東堂君と霞ちゃんが向かってます!」

『ありがとう!』
桃はもう次の方向を見ていた

「賀茂君!屋根!右!」

返事より先に、赤い軌跡が空を走る
屋根の上で加茂憲紀が弓を引くように腕を構え、赤血操術で放った血が呪霊の額を正確に貫いた

一体、二体と迷いがなく祓っていく
その視線だけが静かに周囲を見渡している

『さすが』
紅海は呟き、路地へ飛び込んだ

その瞬間だった
「どけェ!」

野太い声と共に、呪霊の巨体が宙を舞う
轟音とともに石畳へ叩き付けられ、呪霊が霧散した

その前へ立っていたのは東堂だった
肩には泣きじゃくる子どもを抱えている
「安心しろ、もう大丈夫だ」

子どもを母親へ預けると、東堂はようやく紅海へ視線を向けた
「流鏑馬T」
『東堂くん』

「応援感謝する」
『みんな頑張ってて安心したよ』

東堂は鼻で笑う
「当然だ京都校を舐められては困る」


その横を三輪が走ってくる

「流鏑馬先生!」
息を切らせながら、それでも笑顔だった

「先生!」
『霞ちゃん』

「来てくれたんですね!」
『みんな怪我は?』

三輪は少し嬉しそうに笑う

「私は大丈夫です!皆も怪我無しです」
『良かった…』
本当に安心したように息をつく

その時、乾いた銃声が響いた

パンッ

呪霊の頭部が弾け飛ぶ
路地の先に拳銃を構えた真依が煙を払うように銃口を下ろした
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