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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳


遊佐は頷いて、すぐ無線機を手に取った
「こちら遊佐です」

一呼吸置き、落ち着いた声で告げる

「各班、聞こえますか?」

《――はい》
《三班、受信しました》
《ニ班です》

次々と返事が返ってくる

「東京から応援が到着しました…退避拠点の守りは東京側へ引き継いで下さい

退避拠点の京都所属の術師は、引き継ぎ終了後、そのまま避難誘導と呪霊対応を継続でお願いします」

《了解》
《了解しました》

短い返答だけが返ってくる

遊佐は通信を切り、伊地知へ目を向けた
「伝達終わりました」
「ありがとうございます」

伊地知は静かに頭を下げた
そして、携帯を取り出し、伊地知もまた東京の術師に指示を送る

そのやり取りを横で見ていた紅海は、小さく息を吐く
『イッチー、ありがとう』

伊地知は、照れた笑顔で紅海を見る
「京都の方々の方が土地勘がありますし…その方が、きっと助かる人が増えます」

『うん…みんな、動きやすくなったと思うよ…私も、すぐに……』

その時だった
遠くで、爆発にも似た轟音が響く

全員が反射的に音の方角を見る
黒煙がゆっくりと立ち上っていた

遊佐はすぐ無線へ手を伸ばす
「現場、報告お願いします!」
無線の向こうでは激しい物音が混じる
『南側ルートです!』
『一級相当の呪霊を確認!』
『避難誘導中の班と接触しました!』
遊佐の表情が引き締まる

「了解しました」
「無理はせんといてください」
「人命最優先です」
通信を切る

その場に、ほんの短い静寂が落ちた
五条は腕を組み、遠くの黒煙を眺めている
「……思ったより、ちゃんと回ってるね」
誰へともなく呟いた

混乱の中でも、それぞれが自分の役割を果たしている
五条から見て、それは悪くない現場だった

「じゃ、僕は少し全体見てくるよ」
その声に、紅海も遊佐も伊地知も静かに頷いた

紅海はヒップバッグの位置を確かめ、小さく息を吐いた
『じゃあ、私は呪霊を祓いながら、帳を下ろした術者を探す』

伊地知が頷く
「お願いします」

遊佐は、五条に渡した無線に、波数を合わせる
「五条さん、なんか見つかりました?」

五条は騒ぎの中心を眺めたまま
「この規模の事件起こすくらいだからね、それなりに頭が回る奴がいるでしょ」
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