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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳


新幹線がゆっくりと速度を落とし、京都駅のホームへ滑り込む
扉が開くと秋の乾いた風が車内へ流れ込んだ

観光シーズンを迎えた京都駅は、本来なら旅行客で賑わっているはずだった
土産袋を提げた人々や、修学旅行生、外国人観光客
その光景は確かにある

だが、その中へ不自然なものが混じっていた
赤色灯を回したパトカー
慌ただしく行き交う救急隊員
改札付近では警察官が規制線を張り、拡声器を手に人の流れを誘導している

『付近でガス漏れが発生した可能性があります。安全確認のため、一部区域への立ち入りを制限しております。ご理解、ご協力をお願いいたします。』

駅構内へ繰り返し流れるアナウンス
事情を知らない人々は、不安そうな顔をしながらも警察の指示に従っていた
呪霊も、帳の事も、誰一人として、その言葉を口にはしない
非術師には見えないのだから…

「行こっか…」
五条が歩き出す
紅海と伊地知は小さく頷き、その後に続いた

改札を抜けると、遊佐が立っていた
3人へ気付くと、軽く片手を上げる
「紅海ちゃん、久しぶりやな」

その声に、紅海の表情が少しだけ和らいだ
『遊佐くん、久しぶり』
自然と笑みが浮かぶ

遊佐の視線はすぐ五条達の方へ向く
「五条さんも、伊地知さんも、お忙しい中すんません」
「ん、どーも」
五条は片手をひらひら振る

「ほな、車こっちです」
足早に駅前のロータリーへ向かう
一般車両の陰へ停められた黒い車へ乗り込むと、遊佐はエンジンを掛ける

「これ…見といて貰えます?」
タブレットを開いて五条達へ渡す

画面には京都市街の地図
赤い線で囲まれた区域
その外側をさらに大きな円が囲んでいる

「改めて説明します」
車内の空気が変わる
補助監督としての遊佐の声だった

「二重になった帳は、まだ維持されたまま…現地術師が救助と迎撃を続けてます」

「内側の帳は、外へは出られる…せやけど、一度外へ出た人間は戻れへん
外側は逆で、外から中へは入れるけど、外へは出られへん」

紅海は静かに資料を見つめていた

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