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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳



教室ではチョークが黒板を滑る音だけが静かに響いている
『――だから、この帳は外側に居て強力さも増すし安定するってこと』

紅海は黒板へ結界式を書き込み、生徒たちを振り返った

『向き不向きもあるけど、術式だけじゃなく、基礎理論も知ってて損はないからね?』

その時だった
控えめなノックが教室へ響く
「失礼します」

扉の前には伊地知が立っていた
普段と変わらない礼儀正しさ
だが、その表情だけは硬い

紅海はすぐに察した
『何かあった?』
「夜蛾学長がお呼びです」

それだけで十分だった
紅海は生徒へ向き直る

『ごめんね…ここから先は自習にしてもらっていい?
教科書の続き読んで、分からないところには印を付けといて
戻ったら説明するから』

生徒たちが頷く
紅海は教室を後にした
廊下を歩きながら伊地知へ尋ねる

『任務?』
「京都から応援要請です」

足がわずかに止まる
『え、京都……?』

「未確認の二重の帳が確認されました
現地では既に京都所属の術師、補助監督が対応しています」

紅海は歩き出す
「ですが、一般人を多数巻き込んだ広域案件となり、京都の地理に詳しい術師の応援要請が出ています」

紅海は短く息を吸った
京都から東京へ応援が来る時点で、小さな事件ではない

『分かった』
『すぐ準備する』

会議室へ入ると、夜蛾と五条が既に待っていた
机の上には京都市街の地図
帳の範囲や現地から送られてきた報告書も有る

夜蛾が静かに口を開く
「京都より正式な応援要請だ…」

伊地知が資料を広げる
「観光地一帯へ二重の帳を確認
内外の移動が制限され、多数の一般人が出ることが出来ず、術師が救助および呪霊の対応を開始していますが、人員不足です」

紅海は資料へ目を通した
非術師が外へ出られ無い事で被害は現在も拡大中
考えるより先に身体が動く

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