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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第36章 お見合いとデート


「じゃ、それ行く?」
『いいの?』
「観たいんでしょ?」
『うん』
「なら決まりね?」
迷いはなかった

券売機へ向かいながら、五条が振り返ると
「ポップコーン買っといてよ?」
『塩味?』
紅海の即答さに、五条は、え~!…と、抗議の一声
『映画館は塩でしょ?』
「キャラメル味でしょ?」
『途中で甘くなるよ』

五条は、目の前の発券機の画面をタッチしながら紅海に答える
「それが良いんでしょ、塩は喉が渇くよ」
『じゃ、悟の分はキャラメルね?』

「いや、じゃあ塩も半分もらう」
『えぇ?』
「交換して食べよ?」

『ん~…確かに、2味食べられて、倍お得なのかな?』
「映画館ってそういうもんだしね~」
『絶対違うと思う』
笑いながらチケットを受け取る

休日の映画館は人で賑わっていた

五条は、人混みでは少しだけ紅海より半歩前を歩き
誰かと肩がぶつかりそうになると、自然と進路をずらす

本人も意識していない、小さな癖…
ただ昔からそうだったから、紅海は気付かない
今日もその隣を歩いているだけだった


目当てのスクリーンにたどり着き
館内の照明がゆっくりと落ちていく

上映前のざわめきも、やがて静けさへ溶けていった
二人は中央より少し後ろの席へ並んで腰を下ろす

五条はドリンクをホルダーへ置き、二人の間にハーフ&ハーフの大きなポップコーンを置いた

半分は塩で、半分はキャラメル

「ちゃんと、どっちの味も半分ずつね?」

小さく笑う
紅海も笑って頷いた

『うん』
スクリーンが明るくなり、本編が始まる

広大な宇宙…静まり返った船内
異様な静けさが続いたかと思えば、不意に鳴り響く警報音

『わっ…』

紅海の肩が小さく跳ねる
それでも目は逸らさない
スクリーンをじっと見つめたまま、小さく息を吐く

五条は横目でその様子を見た

やっぱり音には驚くんだ
怖がりでもある

それなのに最後まで観るんだからなぁ

昔からそうだった
肝試しは嫌がるくせに、任務では誰より前へ出る
怖いことと、逃げることは別
それが流鏑馬紅海だった

映画は緊張感を増していく

狭い通路、逃げ場のない閉鎖空間
主人公が咄嗟に身をひねり、怪物の爪を紙一重でかわす
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