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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第36章 お見合いとデート


五条もいつも通り笑っている
以前、家の前で偶然会った時もそうだった
伏黒の歓迎会で顔を合わせた時もそうだった

昔からの付き合いだからこその距離感
それ以上でも、それ以下でもないように見える

「まぁいい、じゃあ、私は帰るよ」
浅葱は紅海へ向き直る

「今日はちゃんと考えられたかい」
『うん』

「焦る必要はない…
でも、自分の気持ちは誤魔化すんじゃないよ」
『……分かった』
本当に解ってるんだか…浅葱は静かに頷き、そのまま駅へ向かって歩き出した

姿が見えなくなるまで見送り、紅海はほっと息を吐く
『びっくりしたぁ……』
「僕も」
五条が笑う

『お祖母ちゃん、絶対に怪しんで切り込んで来るかと思ったよ』
「ほんと…あの視線…」
二人は顔を見合わせ、小さく笑った


五条は歩き出しながら聞く
「で?どうだった?」

紅海も隣へ並ぶ
『良い人だったよ』

少し間を置いて続ける
『だからちゃんと、お断りしてきた』

五条は一瞬だけ横目で紅海を見る
その表情はどこか晴れやかだった

『相手に期待させる方が、きっと失礼だから』
「……そっか」

五条はそれだけ答えた
風が二人の間を吹き抜ける

いつもの歩幅で並んで歩く
その距離は、行きと何も変わらない

けれど五条の胸の奥では、小さく張っていた糸が、誰にも気付かれないまま静かに緩んでいた


人混みのざわめきだけが耳に入る
紅海は、後ろを振り返り周りを見る

浅葱が本当に帰ったと確認すると
ようやく一つ、大きく息を吐いた

『はぁ……終わったぁ…』
「お疲れ」
五条が笑う

『なんか変に緊張した…任務より疲れたかも?』
「そりゃ知らない人と二時間近く話してたらね」

少し肩を回しながら歩く
『うん…イイ人だったんだけどね?あと食事も美味しかったし…気心知れた人と食事するのがやっぱり良いね』

その横顔を見て、五条は歩幅を緩めた
「どうする?このまま帰る?」
『え?』

「せっかく外まで出てきたんだし」
サングラスの奥は見えない
それでも口元だけが少し笑っている

「どっか寄る?」
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