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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第35章 外出と神社


══閑話══


窓から差し込む柔らかな光がリビングを照らし、コーヒーの香りだけがゆっくりと広がっている
五条はマグカップを片手にソファへ腰を下ろし、ぼんやりとニュースを眺めていた

ほどなくしてロールスクリーンの向こうから寝ぼけた声が聞こえた
『……おはよぉ』
「おはよ」
『コーヒー……いい匂い』
「飲む?」
『うん……』

目をこすりながらロールカーテンを少しあげる
Tシャツにショートパンツという、いつもの気の抜けた格好だ

五条はカップを一つ増やし、コーヒーを注いだ
『ありがと』
「どういたしまして」
しばらくは何も話さない…静かな朝だった

『…今日かぁ』
紅海がぽつりと呟く

「今日だね」
『なんか実感ない』

カップを両手で包みながら苦笑する
『まぁ、一度、会うだけなんだけどね』

「うん」
『でも緊張する』

「紅海、初対面苦手だよね」
紅海は小さく笑った
『そうなんだよね』

五条はコーヒーを一口飲み、紅海を見る
部屋着のまま、ぼんやり窓の外を眺めている姿は、いつもと何も変わらない

「寝癖」
『え?』

「右」
紅海が慌てて髪へ手をやる
『ほんとだ…へへ』

「鏡ちゃんと見ろって」
『顔洗うので精一杯…』
紅海はあくびをする

二人で笑う
その空気が少しだけ緊張を和らげた

やがて紅海は立ち上がる
『じゃあ、準備してくるね、ありかと』
「うん」

ロールカーテンが下りて、静けさが戻る
五条は残ったコーヒーを飲み干した

部屋の向こうではドライヤーの音が聞こえる
クローゼットを開ける音
普段と何も変わらない朝

それなのに今日は、その生活音だけが妙に耳に残った
「……」
五条は小さく息を吐く

『悟ー!やっぱり髪下ろして行くことにしたー!』
思わず口元が緩む
「うん、それが一番似合うよ」

返事をすると、向こうから「ありがとー!」と明るい声が返ってきた
その声を聞きながら、五条はタブレットを手に取る

今日はいつも通りの一日
――そう思うことにした
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