第35章 外出と神社
夕食を終え、それぞれの部屋へ戻ってしばらく
書類へ目を通し終えた五条は、タブレットを膝に乗せ、生徒たちの実技カリキュラムを組み直していた
虎杖には近接戦の反復
伏黒には術式の応用
釘崎には状況判断…
画面を指でなぞっていた、その時
『ねぇねぇ、悟……どう思う?』
ロールスクリーン越しに、紅海の声がした
「んー?なに、どうしたの?」
五条は返事をしながら立ち上がり
ロールスクリーンを片手で少し持ち上げ、ひょい、と隣を覗いた
「……」
一瞬だけ、言葉が止まる
紅海は部屋着だった
日中見る姿と違い、白いゆるめのTシャツに、膝上までのショートパンツ
風呂上がりなのだろう
淡い金色が混じる白い髪は乾ききっておらず
肩にさらりと落ちている
完全に気を抜いた、家の中だけの紅海
これ…また無防備だな…と思う
前に風呂上がりにロールスクリーンを勢いよく開けられたことがあった
あの時、真っ赤になって慌てていたのは紅海の方だ…
だから今回は、視線を自然に、紅海の持った服へ移した
「なに?ファッションショー?」
茶化すように笑う
紅海は気付かず、ハンガーを掲げた
『お見合いの服……このブラウスに、このスカートでいいと思う?』
白いブラウスに柔らかなベージュのロングスカート
どちらも紅海が座学の授業で時々着ている服だった
『それでね』
鏡を見ながらブラウスを身体に当てる
『これに髪をアップにして、イヤリングとか付けたらどうかなって』
耳元へ手を添え、髪をふわりとかき上げる
その仕草に、五条はほんの僅かだけ目を細めた
……似合うだろうな
むしろ、普段あまり着飾らない分、そのくらいの変化でも十分
だからこそ似合うだろうし、見合いと言う言葉が頭をよぎる
ほんとに行くんだ…分かっていたことなのに
実際に服を選んでいる姿を見ると、不思議と現実味が増した
『悟?』
「あ、ごめん」