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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第35章 外出と神社


お好み焼きの生地が、じゅう、と静かな音を立てる
ホットプレートから立ち上る湯気が、リビングを柔らかく包んでいた

「はい、焼けたよ~先食べて?」
紅海が皿へ取り分け、次のお好み焼きを焼き始める

「いただきます」
七海と五条が同時に箸を伸ばした

「美味っ」
五条が素直に言う
『ほんと?』

「外で食べるより、うまいかも」
『良かった』

紅海は照れくさそうに笑って、自分の分を小さく切り分けた
食卓には他愛のない会話が流れる

スーパーの特売のキャベツ
七海が趣味が神社巡りとナイスフォローしたこと
祖母が相変わらず元気だったこと
そんな他愛もない話ばかりだった

だが七海だけは、祖母から聞いた話が胸に引っ掛かっていた
――お見合い

五条だけが知らない
なぜか、それが引っ掛かる

隠すような内容ではない
しかし、自分だけが知っている状況も落ち着かなかった

七海は味噌汁を一口飲み、自然な口調で口を開く
「そういえば」
『ん?』

「お見合いは、どうするんですか」
箸が止まる

紅海は固まった
「……え」

五条は何も言わない
ただ箸だけが止まる

目隠しの奥の視線が、紅海へ向いた気がした
『七海……』
「はい」

『その話、今する?』
「今だからです」

あまりにも真面目な返答だった
紅海は観念したように苦笑する

『実はね……お祖母ちゃんが勝手に話を進めちゃってて』
「ふぅん」

五条が短く相槌を打つ
『一回だけ会えって言うんだよね』
「うん」

相変わらず軽い
軽いのに、不思議と続きを促している

紅海は頬を掻いた
『しかも、"変な格好で行くんじゃないよ"って釘まで刺されたの。』
ため息を付いた

「……」
『どうしようかなぁ…変な格好って何なんだろ。私、そんな変なの着てるかなぁ』

本気で悩んでいる顔だった
七海は静かに答える
「流鏑馬さんは機能性優先ですからね」

『そうなんだよ』
「普段通りで行けば十分でしょう」

『でも、お祖母ちゃん怒りそうなんだよねぇ』

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