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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第35章 外出と神社


木々が揺れると遠くで鳥の声が聞こえる

紅海は膝を抱えた
『私がいなくなってもさ』

七海の視線が向く
『代わりの人はいるし、しばらくは覚えててもらえるかもしれないけど
きっと、みんな忘れちゃうんだろうなって』

穏やかな声で笑っている
だからこそ危うく感じる

その笑顔は少し寂しそうだから
『でも、新しい出会いもあるし、生活もあるし…だから、それはしょうがないんだけどね』

そこで言葉が止まる
少しだけ視線を落とした

『でも、一人くらいは覚えててくれる人がいたら良いな』

紅海が何を考えているのか
少し分かる気がした

教師として…術師として
人に必要とされたいわけではない
特別扱いされたいわけでもない

ただ…自分がいたことを、誰かの人生の中に残したい
それだけだ
そして紅海は、それを自分で過小評価している

七海はそう思った
高専での紅海を知っている

灰原が懐いていたことも
硝子が気を許していたことも
自分自身が、何年経っても忘れられなかったことも知っている

だから七海は静かに言った

「流鏑馬さん」
『ん?』

「あなたは、自分を過小評価し過ぎです」
紅海が少し驚く

「あなたが思っているほど、人は簡単に人を忘れません」
『そうかなぁ…』

迷いなく七海は答える
「そうです…覚えているものですよ」

紅海は少し黙った
七海の視線は遠くの木々へ向いている
「ほら、だから…ココでのバーベキューだって覚えていたでしょう?」

『七海って…ドライなふりして熱血漢だよね』
「違います」
即答だった

『早っ!うそ、絶対、熱血教師になりそう』
「なりません、事実を述べただけですよ」

紅海は少し笑う
その笑顔を見て七海は安堵した

そして心の中では、別のことを思う

――少なくとも
あなたが思っているより多くの人間が、あなたを忘れない

それぞれ違う形で、ずっと覚えている

だが、それは口にしない
紅海はきっと信じないからだ

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