• テキストサイズ

【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第35章 外出と神社



「大丈夫」
そう言って、ソファの背もたれに身体を預ける

「紅海が出掛けたいんでしょ?行ってきなよ」
その言葉に、紅海は少し安心したように笑う
『そっか良かった』

五条はサングラスの奥で小さく息を吐いた
自分で言っておいて、何とも言えない気分になる

もちろん、止める理由なんてない
七海なら安心だ
責任感もあり実力もある
だからこそ、余計に文句が言えない

「七海なら、信用有るしね」

その言葉は、半分は事実で
もう半分は、自分に言い聞かせている

五条は昔からそうだった
最強は余裕でいるものだ
焦らない、慌てない、執着しない

そして欲しがらない…

欲しいものがあれば、手を伸ばせば大抵届いた
届かなければ、自分でどうにかできたし

だから、何かを我慢した経験も、誰かに取られるかもしれないという感覚も、他人ほど強くない

それなのに仕事が忙しいから頼みづらいとかで、七海に頼んだ…その行為
理屈は分かる…分かるけれど…少しだけ…ほんのちょっぴり面白くなかった

そして、その感情を自覚した瞬間
五条は内心で小さく苦笑した


模擬戦の時の紅海を思い出す
――悟のとなりに立ちたい

あの時の紅海の顔…真っ直ぐだった
守られるだけは嫌だ自分の足で立ちたいと

なら、自分の都合で行動を制限するのは違う
それこそ、あの時の言葉を無視することになる

五条はゆっくり息を吐いた
「楽しんできなよ」
『ありがと』

紅海は、五条の気持ちに全く気付かず、空になった食器を手に取る
『じゃあ、洗っとくね』
「いいよ、僕が洗って後で返す」

『いやいや、逆に!ほら、悟はゆっくりしてよ?美味しく食べてくれてありがと!』
「ん、じゃ、お言葉に甘えて」

紅海が立ち上がる
リビングの明かりに照らされた後ろ姿を、五条はぼんやり見つめた

少し間を置いて、また口を開く
「……まぁ、七海なら」
今度は、さっきより素直な声だった
信頼しているだから任せられる
それは本心だ
ただ、本当に、ほんの少しだけ

面白くない

その程度の感情を、自分の中に見つけてしまって
五条はソファの背にもたれたまま、ふっと笑った
/ 403ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp