第3章 III
「……はぁ、もういいです」
その声には、諦めとも疲労とも取れない何かが含まれている。
ジャックが立ち上がり、少し乱れた服を整える。
「食事を取ってきます。待っていてください」
私の返事を待たずに、足早に去って行ってしまう。
…どうしよう、きっとこのままでは嫌われる。でも、どうすればいいか分からない。
今までジャックにこんな態度を取られたことがない。
手の震えが止まらない。恐怖か不安か分からない。ただ、このままじゃだめな気がする。謝らなくちゃいけない。
心が不安でいっぱいなまま、ジャックを待ち続ける。
そんなに長い時間は待っていないが、体感だともう何十分も待った気分だ。
後ろからドアが閉まる音が聞こえる。いつの間にか戻ってきていたようだ。
「…戻りましたよ」
驚きが顔に出ていたのか、少し呆れたような声色で言われる。
食事をテーブルに置いてくれる。
『…おいしそう、だね』
ビクビクしながら言葉を発する。
「そうですね」
彼はハンバーグを切り分け、自然にの皿に半分移してくれる。
そうするのが当たり前のように。
『あ、りがとう』
中からチーズが溢れ、湯気が立つ。美味しそうだが、の心中はそれどころではない。
謝りたいが、どう謝ればいいのかが分からない。
「食べましょう」
ジャックの声で現実に引き戻される。
『う、うん…いただきます』
1口、切り分けて食べる。
美味しいはずなのに味がしない。動悸が止まらない。
『…あの、ジャック』
「なんですか。」
『………ごめんなさい』
「…何がですか。」
一番聞きたくなかった返事をされる。
自分が、何かしてしまったのかもしれない。でも、私にはそれが分からない。
しばらく言葉に詰まっていると、ため息が聞こえる。
「…気にしなくていいですよ」
目を合わせず、食べながら言われる。
私はそれ以上、何も言えなくなってしまった。