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【第五人格】灰色の世界を抜けて

第3章 III


「……はぁ、もういいです」

その声には、諦めとも疲労とも取れない何かが含まれている。

ジャックが立ち上がり、少し乱れた服を整える。

「食事を取ってきます。待っていてください」

私の返事を待たずに、足早に去って行ってしまう。

…どうしよう、きっとこのままでは嫌われる。でも、どうすればいいか分からない。

今までジャックにこんな態度を取られたことがない。

手の震えが止まらない。恐怖か不安か分からない。ただ、このままじゃだめな気がする。謝らなくちゃいけない。

心が不安でいっぱいなまま、ジャックを待ち続ける。

そんなに長い時間は待っていないが、体感だともう何十分も待った気分だ。

後ろからドアが閉まる音が聞こえる。いつの間にか戻ってきていたようだ。

「…戻りましたよ」

驚きが顔に出ていたのか、少し呆れたような声色で言われる。

食事をテーブルに置いてくれる。

『…おいしそう、だね』

ビクビクしながら言葉を発する。

「そうですね」

彼はハンバーグを切り分け、自然にの皿に半分移してくれる。

そうするのが当たり前のように。

『あ、りがとう』

中からチーズが溢れ、湯気が立つ。美味しそうだが、の心中はそれどころではない。

謝りたいが、どう謝ればいいのかが分からない。

「食べましょう」

ジャックの声で現実に引き戻される。

『う、うん…いただきます』

1口、切り分けて食べる。

美味しいはずなのに味がしない。動悸が止まらない。

『…あの、ジャック』

「なんですか。」

『………ごめんなさい』

「…何がですか。」

一番聞きたくなかった返事をされる。

自分が、何かしてしまったのかもしれない。でも、私にはそれが分からない。

しばらく言葉に詰まっていると、ため息が聞こえる。

「…気にしなくていいですよ」

目を合わせず、食べながら言われる。

私はそれ以上、何も言えなくなってしまった。
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