• テキストサイズ

【第五人格】灰色の世界を抜けて

第3章 III


数分程待つと謝必安が戻ってきた。

「無咎、戻りましたよ」

范無咎が頷き、謝必安から料理を受け取る。

『謝必安〜!来たよー!』

「おや、さん…とジャックさんも。来てくれたんですね」

彼が嬉しそうにを見た後、棚から何かを取り出す。

「これ、この間のカップケーキのお礼です。無咎と食べたらとても美味しかったので、是非お二人で食べてください」

『え!!これ、美味しいクッキーだ!いいの?』

「えぇ。さんはクッキーが好きだと聞いているので」

『やったー!ありがとー!ジャック、後で一緒に食べようね♪』

「はい。」

用は済んだか、とでも言うようにジャックに見つめられる。

『あの、謝必安、もう大丈夫?』

「はい、今日はこれを渡したかっただけなので。わざわざありがとうございました」

『こちらこそありがとう〜!食べたら感想言うね〜!』

「楽しみにしていますね」

ジャックに手を引かれて部屋を出る。

『…ジャック、今日はどうしたの?なんか変だよ』

「………」

無視されてしまった。聞いても答えてくれないのなら、私にできることは無い。

部屋に戻ると、布団に投げられる。

「」

『っ』

ジャックが私を呼び捨てするのは、怒っている時だけだ。

…それも、かなり怒っている時。

『…はい』

「ジョゼフと抱き合っていたのはなんですか」

『抱き合ってない!!あれはっ、ジョゼフが勝手に抱きついてきただけで…』

「どうして?」

苦しそうな声で聞かれる。

仮面の下の顔は苦痛に歪んでいる。


あぁ、ジャックは本当に傷付いたんだ。

嫌でも気が付く。同時に、ジャックが私をどれ程愛しているかも伝わってくる。

『あのね、あれは本当に…うーんとね…』

ジャックは私の言葉を大人しく待っている。

『マリーとジョゼフ、どっちのお菓子を食べるかで色々あってね…?
うーんと、マリーがジョゼフなんてほっとこって言ったから、ジョゼフとも話したいって言ったの。
そうしたら、ジョゼフに抱きつかれたの』

ジャックがまだ納得いかなそうな顔をしている。

『ごめんね、私も…ああなるとは思わなくて』

少しの沈黙が二人の間を通る。


「……はぁ、もういいです」
/ 20ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp