• テキストサイズ

【第五人格】灰色の世界を抜けて

第3章 III


私の泣き声を聞き、慌てて范無咎が入ってくる。

しかし、少しすると気配が無くなった。


ゆっくりと部屋が暗くなる。散々泣いてしまったので、まぶたが重い。

「…さん、眠いですか」

ジャックが小動物を抱えるようにを抱きながら、ゆっくりと撫でてくれる。

『…ねむくない』

ジャックの体温が伝わってきて、温かい。

「無理はしなくていいですよ。話は後でも出来ますから」

トン、トン、と一定のリズムで背中を叩かれる。

瞼の重さに抗えずに、そのまま目を閉じる。

「…」

彼はゆっくりとの背中を撫で、額に唇を落とした。

「おやすみなさい」




夜が更けると、吹雪が昼間より酷くなる。

このままでは冷えてしまうと思い、をベッドに横たえてからカーテンを閉める。

暖房の温度を上げ、ゆっくりとの隣に寝る。

彼女はまだぐっすりと眠っている。

そっと毛布を引き上げ、が寒くならないように抱きしめる。

『ジャック……』

「…?」

ただの寝言だったようだ。

あまりの愛しさに息が詰まる。

ずっとここに居てくれさえすれば、それでいいのに。

私だけが知り、私だけが愛を注げれば……。

頭を振り、涙の跡を指でなぞる。

私の愛は、この子に届くのか。受け入れて貰えるのか。

「さん…」

今は、私の横に居てくれるだけで十分だ。

そっと唇にキスをし、再度横になって目を閉じる。



夜が明けていく。
/ 20ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp