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【第五人格】灰色の世界を抜けて

第3章 III


私の泣き声を聞き、慌てて范無咎が入ってくる。

しかし、少しすると気配が無くなった。


ゆっくりと部屋が暗くなる。散々泣いてしまったので、まぶたが重い。

「…さん、眠いですか」

ジャックが小動物を抱えるようにを抱きながら、ゆっくりと撫でてくれる。

『…ねむくない』

ジャックの体温が伝わってきて、温かい。

「無理はしなくていいですよ。話は後でも出来ますから」

トン、トン、と一定のリズムで背中を叩かれる。

瞼の重さに抗えずに、そのまま目を閉じる。

「…」

彼はゆっくりとの背中を撫で、額に唇を落とした。

「おやすみなさい」


…

夜が更けると、吹雪が昼間より酷くなる。

このままでは冷えてしまうと思い、をベッドに横たえてからカーテンを閉める。

暖房の温度を上げ、ゆっくりとの隣に寝る。

彼女はまだぐっすりと眠っている。

そっと毛布を引き上げ、が寒くならないように抱きしめる。

『ジャック……』

「…?」

ただの寝言だったようだ。

あまりの愛しさに息が詰まる。

ずっとここに居てくれさえすれば、それでいいのに。

私だけが知り、私だけが愛を注げれば……。

頭を振り、涙の跡を指でなぞる。

私の愛は、この子に届くのか。受け入れて貰えるのか。

「さん…」

今は、私の横に居てくれるだけで十分だ。

そっと唇にキスをし、再度横になって目を閉じる。



夜が明けていく。
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