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【第五人格】灰色の世界を抜けて

第3章 III


少し歩いた所で范無咎が口を開く。

「話し合いには俺も同席させてもらう」

「…帰ってください」

「今の状態のお前とを二人きりには出来ない」

ジャックが歯を食いしばり、を抱く手に力を込める。

『ジャック…?』

「やめろ、ジャック。力を緩めろ」

「二人きりにしてください」

「無理だと言っただろう」

「…少しで大丈夫ですから」

范無咎が悩んだ後、ドアを開けて言う。

「部屋の前で待っている。、何かあったら呼べ」

ジャックは部屋に入ると、をベッドへと優しく座らせた。

「さん…」

『…ジャック、ごめんなさっ』

彼に強く抱き締められる。

「…心配しました」

彼の心臓がドクドクと脈打っているのが分かる。

ひたすら強く抱き締められ、私はその背中を撫でることしか出来なかった。

『ごめんなさい』

「…」

『ジャック、ごめんなさい』

「…大丈夫です」

仮面を外し、深くキスされる。

『んむっ』

後頭部を掴まれ、顔を逸らせなくなる。

『じゃっく、っ』

舌を絡め、激しく求められる。

しばらくして解放される。呼吸を整えていると、彼が静かに聞いてくる。

「……どうして、消えてしまうんですか」

どう答えればいいか分からず、視線を落として考え込む。

「私の事が嫌いになりましたか」

指を絡め、引き寄せられる。

「感情的になってしまったのは私の落ち度です。それが原因ですか」

不安そうな言葉が次々と落ちてくる。

『ジャックは…ジャックは、私が居なくても…大丈夫でしょ?』

その言葉を発した瞬間涙が溢れてくる。

泣きたいわけじゃないのに、涙がどんどん溢れ、止まらなくなる。

「大丈夫なわけないでしょう……!!」

再び強く引き寄せられ、抱かれる。

「貴女は、私の世界だ…」

居なくなると困る、と絞り出すように言う。

腕に込められた力が、彼の感情全てを物語っている。


あぁ。

私は本当に、大切にされていたんだ。

その事実を体感し、私はわんわんと泣いてしまった。

彼はそんな私を包み込み、優しく受け入れた。
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