第3章 III
もう戻れない。
きっともう、取り返しはつかない。
外は雪が積もり、手が悴み、足の感覚は鈍くなっている。
足がもつれ、転んでしまう。雪が優しく衝撃を受け止めてくれる。
きっと、私がいなくなったって、ジャックは普通に暮らしていける。
私はジャックの負担にはなりたくない。
『これで、よかったんだぁ……』
零れる涙が冷えて、顔に張り付く。
それも気にせずに、わんわんと泣く。
静かな世界に泣き声だけが響く。
振り向いてみる。もう、あの部屋に灯りは無い。
寝たのだろうか。
重い身体を無理やり起こし、また前へと進む。
ここから、出ていこう。道も何も知らないし、野垂れ死んだらその時だ。
私は、ここに居るべきじゃなかったんだ。
孤独が、心を蝕んでくる。
前へ、前へと進んでいくと、門のようなものが見える。
あぁ、これでここから出ていける!
そこで、私の意識は途切れた。