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【第五人格】灰色の世界を抜けて

第3章 III


もう戻れない。

きっともう、取り返しはつかない。

外は雪が積もり、手が悴み、足の感覚は鈍くなっている。

足がもつれ、転んでしまう。雪が優しく衝撃を受け止めてくれる。

きっと、私がいなくなったって、ジャックは普通に暮らしていける。

私はジャックの負担にはなりたくない。

『これで、よかったんだぁ……』

零れる涙が冷えて、顔に張り付く。

それも気にせずに、わんわんと泣く。

静かな世界に泣き声だけが響く。

振り向いてみる。もう、あの部屋に灯りは無い。

寝たのだろうか。

重い身体を無理やり起こし、また前へと進む。

ここから、出ていこう。道も何も知らないし、野垂れ死んだらその時だ。

私は、ここに居るべきじゃなかったんだ。

孤独が、心を蝕んでくる。

前へ、前へと進んでいくと、門のようなものが見える。

あぁ、これでここから出ていける!

そこで、私の意識は途切れた。

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