ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第23章 第二十三話
そしてお酒も頼んでみた。
ユラくんはあまりお酒の味が得意ではないらしく、意外な一面を発見しました。
「あははは、私はザルなんで、いくらでも飲めますよー」
そう言って、調子に乗って飲みすぎてベロベロになったのは、別の話。
私が酔いつぶれる前、ユラくんに聞いた。
「ユラくん、もしかして私のせいでラドクリフ様のところクビになっちゃったんですか?」
「貴女のせいじゃないですよ。もともと私には身に余ることでしたので。…それなのに、私は貴女を追い込んでしまった…」
私がおそるおそる聞くと、ユラくんは、申し訳なさそうに言った。
「最初は攫われたと思っていましたが、この地で生き生きと暮らしている貴女を見たら、やはり自分の意思だったのだなと…」
「…ごめんなさい…」
ユラくんは遠い目をしながら言う。
私は思わず謝った。
「ユラくんのこと、心残りじゃなかったわけではないんです。あのままユラくんだけ置いて出ていくこと、あの後どうなってしまったんだろうと思っていました…」
ただ8年という時間で、一人で子育てしていたら忙殺されてしまって、ユラくんとの記憶も遠いものになっていたけども…
「いいんです。…もう、昔の話です」
ユラくんは静かに目を閉じて言った。
「また会えたので、私はそれだけで嬉しいです」
そう言ってユラくんは、苦手なお酒を少しだけ飲んだ。