ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第21章 第二十一話
「シオに起こしてもらうから大丈夫です」
どうせめちゃくちゃ早く起きるだろうし。
「私、ラクダ見てくるから、セカおじちゃんとママはデートしてていいよー!」
「暗くなる前には宿に来てよー!」
勢いよく走り出す背中に、私は早口で声をかけた。
でー、、と???
私は少し困ったようにセカを見上げると、セカは声をあげて笑った。
「じゃあ、町の中を少し散歩するか」
「そう、ですね…」
…これ、デートなのか。
私はなんだか少し緊張した。
町の端っこに大きめの湖があり、そこで洗濯している人たちが楽しそうに話している。
砂漠はカンカン照りで、空気が熱すぎてモヤモヤしている。…蜃気楼でも見えそうなくらい。
暑すぎるので(特に雪国生まれのセカには)、大きなテントの市場を見て回ることにした。
「シオが『デート』とか言っちゃってごめんなさい。奥様もいらっしゃるだろうに…」
私は歩きながらセカに謝った。
「いや、俺は…妻はいないんだ。離縁してしまってな…」
「あ!そうだったんですね、ごめんなさい!」
離縁…セカみたいないい人でもうまくいかないものなんだなぁ。まあ、私も似たようなもんだけどさ…。←だいぶちがう
「…いいんだ。気を遣わせてしまってすまない」
こういう時、どういう会話していいか、私わからないのだが…。
深く聞くのも失礼かもしれないし、どんな方が奥様だったのかとか好奇心はあるけど、聞いちゃいけない気もするし…。
悩んだ結果、
「あ!あの服かわいい!!」
と買い物を満喫することに。
「シオの服か?」
「そうそう。子どもの服って、買っちゃうんですよねー」
そう言って、シオの瞳の色と同じ緑色の服を広げて見た。
「シアンは。ユラ殿に会いたいとは思わないのか?」
服を買うか買わないかめっちゃ悩んでいると、セカが急にそんなことを聞いてきた。
「ユラくんに…」
ユラくんのことは、もう遠い昔の記憶になりつつあったけども…。
「…私は、ユラくんとは会えません。会えば、シオがどうなるか分からないですから」
ユラくんに見つからないために、名前を変えて生きているわけだからね。
「それは、ラドクリフ殿のことを含めて…だろう?ユラ殿には会いたくないのか?」
「…難しいこと聞きますね」
ユラくんだけに会うって、可能なのかな?