ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第20章 第二十話
「ユラ殿も、まだ探していたぞ」
「そうなんだ…」
ユラくん、まだあきらめてないってことは、ラドクリフ様も探しているんだろうな。見つかるわけにはいかない。
その日は、セカと別れ部屋に戻って寝ようとするも、なかなか眠れなかった。
(セカ、なんか言いかけてたけど…まるで、告白みたいだった…)
私は思い出して少しドキドキしていた。
でも、セカみたいな素敵な人が自分に告白なんてするわけない、と思い直した。
(きっと、罪悪感があるんだろうな…)
セカはいいひとだし…。
そんなことを考えて、夜を明かした。
次の日。
すでに皆ロビーに揃っていた。
そこに、セカがやってきた。
「俺が国境まで送ろう」
そうして馬車まで用意してくれた。
「こんなにしていただいて…どうお礼をしたらいいか…」
「いや、いいんだ。気にしないでくれ。俺がやりたいだけなんだ」
レイチェルさんが申し訳なさそうにすると、セカは一瞬私を見てそう言った。
「ありがとうございます」
私も深々と頭を下げて、心からお礼を言った。
「お礼を言われるのは、なんか心苦しいな…」
皆一斉に『なぜ?』という顔をするも、誰も何も言わなかった。
こうして、数日、セカも一緒に旅をすることになった。
馬車での旅、私は相変わらず気配を消す帽子を被っている。
馬車は二台。私とセカとシオの三人で一台、冒険者の皆さんで一台用意してもらった。
シオは初めての馬車旅で、外を見てワクワクしている。
私とセカは二人で膝を突き合わせて無言だった。
だって、昨日、抱きしめられて告白っぽいこと言われちゃったから、なんか恥ずかしかったんだよぉ!…告白じゃないけど。
「シア…ヨアンは、これからもその『レイニー』というバーで暮らしていくつもりなのか?」
外を見ていたセカが不意にこちらを見て言った。
「そ、そうですね。できる限りそこで暮らしていきたいですけど…シオが冒険者になりたいなら、またどうするか考えないとと思っています」
「ほんとぉ!!?」
私の言葉を聞きつけたシオが嬉しそうに私の膝に腕を乗せてきた。
「シオ、だらしないよ。ちゃんと座って」
「へーい」
そう言ってシオは再び馬車の外に身を乗り出して見始めた。