ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第16章 第十六話
いざオープンしたら、来るわ来るわの大盛況。
「ジャムがなくなっちゃう…おしまいね」
そうして開店から2時間で完売した。
「い、忙しかったね」
と、シオに言うと、シオは晴れやかな表情で、
「ね!楽しかったー!」
と言った。三日で飽きてくれることを祈る。
そして三日目。
シオは飽きたようだった。お店の外をウロウロしていた。
「シオ、もうすぐ終わるから」
『完売』の札を出し、片付けをしていると、バタバタと足音がして、シオがキラキラした目で帰ってきた。
「今度はなにー?」
私は片付けながら聞くと、
「この町に、有名な冒険者が来てるんだって!ねー!見に行きたい!」
冒険者というのは、たしかギルドからの依頼を受けて、魔物を倒したり、ダンジョンに潜ったりしている人たちだっけ。
「へー。遠くから見るだけなら、いいんじゃない?」
私がそう言い切る前に、シオは走り出していた。
「はや!」
その背中を見ながら、私は苦笑いした。
門の前に人だかりができている。
シオは人をかき分け、中心部を目指した。
「あら…!危ない」
どうやら中に入りすぎたようで、冒険者さんの足にぶつかってしまった。
長身の女性で、金の髪を一つに結っている紫の眼の美人さんだった。
「え?お姉さんも冒険者さんなの?」
シオは驚いて、思わず聞いてしまった。
「あら、そうよ。見えない?」
「こんなに綺麗なお姉さんが戦うなんて、すごい!!」
シオは感動してしまった。そして、自分もこんな風になりたいと思った。
「あの!冒険者さんの中には、魔法使いもいるの?」
眼をキラキラさせて、お姉さんに聞くと、
「そうねぇ。魔法使いさんは貴族様しかいないから、貴族様にお願いして、パーティに入ってもらってるのよ。今日はいないけどね」
そう言って、後ろにいるメンバーを指さした。
大きな盾をもった大きな男の人、槍を持った青年、弓矢を持った10歳くらいの少女もいた。
「えー!あの子も冒険者さんなの?」
年の近そうな子を指さして聞く。
「そうよ、あの子はああ見えてもう22歳なの」
「え!ママとのが年近い…」
ガーン!そんな音が聞こえてきそうな空気が流れた。
「ねーねー!どうしたら冒険者さんになれるの?なりたい!」
シオは腕をぶんぶん振りながら聞いた。